大きな利益は生まないが「安定感」に優れている
スーパーマーケット立地でのコインランドリー事業には様々なメリットがありますが、企業経営者のみなさんにとってはさらに、事業戦略や税務対策における大きなメリットがあります。
本書籍第1章で日本のビジネス環境の難しさに触れましたが、そのことを一番実感しているのは企業経営者のみなさんでしょう。
どんなビジネスでも変化のスピードはどんどん速くなっており、うまくいっていた会社の経営があっという間に傾くことは珍しくありません。
少しヒットするとすぐ同業他社が真似して参入してきます。また、消費者の嗜好も変わりやすく、ちょっとした価格設定やサービスの変更がきっかけで客足が落ちることもあります。
そうしたとき、次々と新しいビジネスや業態に挑戦するのもありでしょうが、本業とは別の安定した事業を持つという選択肢を考えてみてはどうでしょうか。ぼくたちは、スーパーマーケット立地のコインランドリー事業がまさにそうしたニーズにぴったりだと考えています。
すでに説明したように、スーパーマーケット立地のコインランドリーは初期投資が比較的高額であり、サラリーマンなどの個人投資家にはハードルが高くなっています。
また、1店舗目は金融機関からの融資も受けにくく、事業資金の調達がしやすい企業のほうが有利です。さらに、大手有名スーパーマーケットへの出店は、取引金融機関に対してプラスに作用すると考えられ、知名度アップにもつながるなど、本業との相乗効果が期待できます。
他にも、コインランドリー事業は一般に軌道に乗るまで、1年程度かかることがよくあります。その間、損益が赤字になるかもしれませんが、黒字企業にとってはその赤字で法人税を減らしつつ、将来に備えた別事業の立ち上げを行うという対応ができます。
それほど大きな売上や利益を生むわけではないかもしれませんが、本業以外に安定した事業を持つ安心感にぜひ注目していただきたいと思います。
洗濯機・乾燥機の機械設備は「即時償却」が可能
先ほども少し触れましたが、黒字企業にとっては、コインランドリー事業は税務対策におけるメリットが期待できます。
コインランドリー事業では、土地と建物、そして洗濯機や乾燥機などの機械設備へ投資します。このうち、割合的に一番大きいのが、洗濯機や乾燥機などの機械設備です。立地や店舗の規模などによっても違いますが、おおむね初期投資のうち50%強を占めます。
そして、コインランドリーの洗濯機や乾燥機は税法上「洗濯業、理容業、美容業又は浴場業用設備」に該当し、法定耐用年数は13年とされています。つまり、機械設備の費用は13年で償却可能であり、これはアパートや賃貸マンションよりかなり短いのです。
その分、キャッシュアウトを伴わない経費が増え、本業におけるキャッシュフローの改善と節税効果が期待できます。
さらに中小企業経営強化税制による償却の場合、70%以上の一括償却も可能です(2019年3月31日までの特別償却。何らかの措置による延長の可能性あり)。前倒しで経費計上できれば、その分だけ利益を圧縮でき、資金繰りに余裕ができます。事業が好調で利益が大幅に増えそうな中小企業にとっては、大きなメリットではないでしょうか。
役員の退職金として活用することも可能
スーパーマーケット立地のコインランドリーは、役員の退職金として活用することも考えられます。
そもそも退職金とは、退職した従業員や役員に支払われるもので、給与の後払いとされ、退職手当、退職慰労金などと呼ばれることもあります。中小企業の場合、退職金制度を十分、整備できていないことが少なくないでしょう。
そこで、特に役員のための退職金制度をコインランドリー事業によって準備し、しかもコインランドリーを退職金として支給すると、受け取る役員にとっては節税になるのです。