まず「固定客300人(世帯)」が確保可能かチェック
前回までに紹介したハードルをクリアできたとして、スーパーマーケットの駐車場にコインランドリーを出店した際の収支はどのようになるのでしょうか。
実際には駐車場スペースを借りる賃料や、店舗の規模によっても変わってきますが、モデルケースで試算してみます。
まず、売上についてです。
ぼくたちはスーパーマーケット立地においては、300人(世帯)の固定客をひとつの目安にしています。事前の市場調査でも、周囲2~3キロ圏の世帯数やそのエリアにおけるコインランドリーの利用率などをもとに、300人(世帯)が確保できるかどうかをチェックします。
また、出店するスーパーマーケットの来店客数からも確認します。例えば、年間来場者数が48万人のスーパーマーケットであれば、月4万人です。このうち5%がコインランドリーを利用してくれれば、2000人になります。
いきなりこれだけの人数が利用してくれるわけではありませんが、月に1回しか来ない人も含めてなら、それほど難しい数字ではないでしょう。さらに、2000人のうち300人が固定客になってくれるということも、十分視野に入ってきます。
固定客の利用回数については、これまでの実績などから月平均2.6回と想定します。
これについても、先ほど紹介した利用者像のデータで、1週間に1回来る人が20%いることから考えれば、それほど難しい数字ではないことはご理解いただけると思います。
1回の利用料の想定は、大型の洗濯機と乾燥機を使うとして1300円です。
固定客は洗濯と乾燥をセットでします。また、たくさんの洗い物を持ってくる傾向があります。大型の洗濯機は容量によりますが、1回800円から1000円くらいします。乾燥機は小型で10分100円、大型では7分で100円くらいです。そして、30分くらいかけないと完全には乾きません。大型乾燥機であれば500円くらいになります。このように合計1300円が目安になります。
以上から、毎月の売上高を計算すると、101万4000円になります(以下の図表1参照)。
[図表1]月間100万円の売上シミュレーション
共用部の費用負担があるテナント方式では賃料が高く…
次に、経費です。想定の内訳は図表2の通りです。
[図表2]収支シミュレーションの例
土地の地代などテナント賃料については月10万円のケースもあれば、年間の売上高が何十億円という(集客力のある)スーパーマーケットでは20万円や25万円というケースもあります。ここでは15万円としておきます。
なお、既存の建物や店舗の一角を借りるテナント方式では、駐車場スペースを借りる場合に比べ、共用部の費用負担があるので賃料は高くなります。
パートの人件費はほとんど変わりません。ここでは8万円としておきます。
雑費は、電球や掃除用品などの消耗品費です。
オーナーの運営委託費は、ぼくたちに委託される場合にかかるコストです。ぼくたちに委託される場合、パートの人件費もこちらに含み、現在は毎月一律5万8000円+パートの人件費です(税別)。
ガス、電気、水道は売上に連動します。おおむね売上の25~30%ですが、水道料金は自治体によって単価にかなりの違いがあります。
これらを合計すると、すべてご自分で運営されるなら49万円、ぼくたちに運営委託されるのであれば56万円程度になります。先ほどの売上から経費を差し引くと、おおむね月34~41万円の利益が手元に残るということになります。
もちろん、月によっても売上は変化します。一般的にコインランドリーは梅雨時がもっとも売上が伸び、天候の悪い冬場も売上は多くなります。逆に、天気の良い夏場は落ちる傾向があります。
ぼくたちが手掛けた代表的な店舗の月別売上の例を挙げておきますので、参考にしてみてください(以下の図表3参照)。
[図表3]代表店舗の月別売上例
月40万円の利益(ネット)が手元に残るとすると、年間では480万円になります。月34万円としても年間では約400万円です。
2016年の日本人の平均所得は男女合わせて422万円です(国税庁「平成28年分民間給与実態統計調査)。男性だけなら521万円。つまり、スーパーマーケット立地のコインランドリーがうまくいけば、1年に400万円ほどの収入が加わり、もう一人収入を得る自分ができるということです。
また、投資金額が4000万円だとすると、年間400万円の利益が残ればネット利回りは10%になります。
これは、10年で投資金額を回収できるということを意味し、11年目以降は利益がそのまま積み上がっていきます。15%ならば7年弱で回収が可能です。