初期マーケティングで「愛用ユーザー」を囲い込む
コインランドリー事業を開始してまずぶつかる壁は、売上が上昇してくるまでにある程度の期間が必要なことです。コインランドリーは一般に、店舗の周辺4~5キロの範囲が商圏ですが、その商圏に暮らす人たちに認知してもらうにはどうしても一定の時間がかかるからです。
もちろん、私たちも手をこまねいているわけではありません。オープン初月から売上を上げていくため、初期マーケティングにとことんこだわっています。ぼくたちの経験上、一番重要なことは適切なマーケティングを打っていくことです。
シミュレーション上では、月100万円の売上を達成するためには地域の利用者300人を獲得することが必要です。これは300人の会員を作るビジネスモデルと同じです。
メインターゲットは家庭の主婦層ですが、その中で2つの属性に大きく分かれます。
ひとつは、「愛用ユーザー」です。すでにコインランドリーを利用することが日常生活の一部になっています。もうひとつは、「未利用ユーザー」です。まだコインランドリーを利用したことがない、あるいは利用することが習慣化していません。
この2つのターゲット属性に応じたマーケティングが必要になってくるのです。
[写真1]独自のマーケティングによりオープン初日から行列ができる(ランドリーカーサ・イオンモール幕張新都心店)
「愛用ユーザー」はすでにコインランドリーを利用するのが習慣化しています。早く囲い込めれば、それだけ店舗の立ち上がりが早くなります。
すでにコインランドリーの利便性を知っている愛用ユーザーに適したマーケティングとはどのようなものでしょう。ぼくたちがオーナーに提案しているのは次の3つです。
①オープン時にコインランドリーのお得なキャンペーンを打ち出す
② 一回きりの利用で終わらないように、最低3回から4回は来店してもらえるような施策を打つ
③ キャンペーンをある程度の期間実施し、地域のインフルエンサーとして口コミし
てもらう
一方、「未利用ユーザー」は、愛用ユーザーに比べてはるかに数が多いボリューム層です。それだけに、長期的な売上増加と安定化には、この未利用ユーザーの開拓が不可欠になります。
未利用ユーザーには、コインランドリーを使ってみたいという動機付けが欠かせません。そして、1回利用した後、最低3回から4回は継続して利用してもらうためのマーケティングを行う必要があります。
ぼくたちがオーナーに提案しているのは次の5つです。
①ターゲットの主婦に喜んでもらえそうな特典をつける
②オープン時にコインランドリーのお得なキャンペーンを打ち出す
③ 一回きりの利用で終わらないように、最低3回から4回は来店してもらうような施策を打つ
④ 家庭用の洗濯機や洗濯乾燥機ではできない、コインランドリーでしか洗えないものや、コインランドリーでしかできないことを伝える
⑤コインランドリー店舗を利用した人からの良い口コミが広まるような施策を打つ
具体的なプロモーションの内容とは?
こうしたマーケティングのため、具体的に行うプロモーションについても、いくつかご紹介しましょう。
洗濯機利用100円
期間中は何回来ても、洗濯機の利用が1回100円でできるというものです。ランドリー愛用者に来店と口コミを促すためのプロモーションです。
ポイントカード半額
3000円分のポイントカードを半額の1500円で提供するというものです。オープン時の売上増加と継続して利用してもらうためのプロモーションです。
調味料プレゼント
コインランドリーの利用者に醬油や味噌などの調味料をプレゼントするものです。主婦の目に留まり、新たなユーザー層を開拓するためのプロモーションです。
大物や布団などの告知
普段洗えないものが洗えることを伝えるものです。これも主婦の目に留まり、新たなユーザー層を開拓するためのプロモーションです。
[写真2]オープン時のプロモーションチラシの例
以上のようなプロモーションを組み合わせ、チラシやポスターなどで告知します。最近オープンした店舗の中には、初月から50万円以上の売上を達成したり、中には100万円を超える売上を記録したケースもあります。
この他、キャンペーン時や日々のマーケティングを底上げするため、次のような施策も行っています。
スタッフの研修教育
来店したお客様に対して、スタッフがポイントカードを積極的に販売するようにロールプレイングしたり、満足度が上がるトークや利用方法をお客様に伝えることで、さらなるサービス向上と売上アップを図ることができます。
また、面接時には、清掃面より接客面での素養や積極性に鑑みて採用しています。
スーパーマーケットからの協力
出店しているスーパーマーケットの店長との信頼関係を築くことで、非常に強い集客サポートを得ることができます。
買い物カゴへのチラシ配布、レジまわりでのポスター掲示など、日々のスーパー利用者をどんどん囲い込む施策も計画中です。
さらに、業界としての全く新しいサービス提案も企画中です。こうした取り組みによ
り、さらにランドリーの稼働率を上げて、売上と利益の向上を図ります。