シンガポールは証券とみなされるトークンの販売を規制
3.シンガポール
前述した米国のSECによるICOの規制に関する発表から間もなく、シンガポール当局もICOのトークンに関する規制を開始することを発表しました。
シンガポール金融管理局(Monetary Authority of Singapore、以下MAS)は2017年7月、一部のICOを規制すると発表しました。
内容を要約すると、MASは今後シンガポールの証券先物法の対象となるトークン、つまり証券とみなされるようなトークンの販売を規制していくということです。さらに、取引所をはじめとするICO後のトークン売買を可能にするサービスも、同様に規制対象になります。証券とみなされたトークンの発行者には、ICOを開始する前にMASに目論見書を提出し、ライセンスを取得してマネーロンダリング及びテロ資金対策を講じることが義務付けられています。
ICOを行なうシンガポール法人だけでなく、シンガポール人やシンガポールに拠点を置く個人・法人からの出資を受けるICOも、規制対象になる可能性があります。
禁止・規制はないものの、投資家へ警告を出した英国
4.英国
ICOを禁止はしていませんが、他国がICOに規制を始めたことをうけて、投資家に向けてICOに対する投資について警告を出しました。
2017年9月12日付の日経新聞によると、英国金融規制当局の金融行為監督機構(FCA)は同9月、ICOについて、「極めて高リスクの投機的な投資だ」と警告しました。ICOは詐欺に悪用されるリスクがあるとして、投資する場合には全損を覚悟するよう投資家に注意を喚起しました。
また、FCAは、「多くのICOは金融規制の管理下になく、損失が発生しても投資家が保護を受けられない上、価格変動が激しく詐欺の疑いや情報の公開が不適切な恐れがある。ICOに投資する場合は、投資経験があり企業の事業に確信がある場合に限るべきだ」との見解を示しました。
まだ明確な規制がなされてはいない韓国
5.韓国
韓国の仮想通貨取引量は急激に増加していて、イーサリアム(ETH)やリップル(XRP)の取引高では世界一を記録していました。また、2017年11月、韓国で人気の無料で通話やメールができるコミュニケーションアプリ「カカオトーク」(KakaoTalk)を運営する会社が、アメリカの大手仮想通貨取引所「ビットトレックス」と提携し、110以上の仮想通貨を扱う韓国最大規模の仮想通貨取引所「アップビット」(Upbit)を設立すると発表しました。しかし、その直後にICOに対する規制が入ったため、仮想通貨熱に水を差すことになりました。
韓国のFSS(金融監督院)は2017年9月、ICOを全面的に禁止することを発表しました。中国などと同様、「投資家たちを詐欺から守る」という投資家保護の観点からの措置です。後日、韓国取引所での信用取引も合わせて禁止されました。しかし、韓国内では報道機関によって規制内容が食い違っていました。News1Koreaの報道によると、FSC(中央金融委員会)は韓国のICOを全面禁止すると伝えていますが、JoongAngの報道によれば、韓国の新興企業が立ち上げたICOは禁止するが、個人投資家までは規制が及ばないとしています。
2018年に入ってから法務省の朴相基(パク・サンギ)長官が仮想通貨取引の禁止を検討していると発表しましたが、この発表に反対する請願書に約11万人もの韓国市民が署名し、「短期的には仮想通貨を禁止することはない」と結論を出しました。このように、韓国ではまだ仮想通貨に対して明確に規制がなされているわけではないようです。