基準を設け、政府の認可を受けたものは受け入れる方針
2.米国
(1)ICOの規制
米国でもICOを規制する動きがありますが、中国とは違い、ICOを全面的に禁止するのではなく、一定の基準を設けて政府から認可を受けたものについては受け入れていく方針です。
米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission、以下SEC)は2017年7月、ICOトークンの販売は連邦証券法の要件を満たしている場合もあり、有価証券に該当すると判断されたトークンについては販売する際、規定によりSECに登録する義務があると発表しました。
さらに特別な場合を除き、トークンの取引を提供する取引所も登録が必要となり、未登録のトークン販売者からの提供を受けた投資家についても証券取引所法違反に問われる可能性があることを示唆しました。SECが「The DAOのDAOトークンは有価証券である」として判断したことから、今後ICOにおけるトークンの販売については同様に無認可の有価証券とみなされる場合も生じ、証券法に基づいて処罰の対象となり得ます。
このSECの見解はThe DAO事件の調査報告書上で示されていますが、米国ではこの事件を契機に、認可のないICOを規制していく模様です。
(2)ビットコイン先物の上場
米国には、世界最大の先物取引所を運営するシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループを筆頭に、シカゴ・ボード・オプション取引所(CBOE)などの先物取引所があります。
シカゴ・ボード・オプション取引所(CBOE)は日本時間2017年12月11日、ビットコイン先物を上場し、仮想通貨の先物取引が開始されました。これに先立ち、ニューヨークに拠点を置くLedger X社が米国先物取引委員会(CTFC)による3年間にも及ぶ審査を経て、2017年7月にスワップ執行ファシリティ(SEF・・・デリバティブの際、法で使用が決められているシステム)及びデリバティブ清算機関(DCO)への登録が認められ、仮想通貨のスワップやオプション取引を行なうことが可能な業者として正式に認可されました。これに対して、CMEも2017年12月18日からビットコインの先物の取り扱いを開始しました。
先物取引の開始で、市場の活性化を予想
(3)先物取引の上場に伴う市場の変化
先物取引が開始されたことにより、機関投資家やヘッジファンドなど大手の投資家が参入しやすくなり、市場がより活性化することが予想され、今後大量の資金が市場に流入することで価格が上昇することも考えられます。
一方で先物市場では現在ビットコインを保有していない状態でも「売り」から入ることができるため、大量の資金をかけてビットコインの価格を崩して狼狽売りを誘い暴落に繋がる可能性もあり注意が必要です。実際に、先物取引が始まった当初はBTCの価格が170万円ほどだったものが数時間で200万円ほどになるなど短時間で約30万円も上がりました。一方で、2018年2月6日には、ビットコイン価格が日本円のレートで約230万円から60万円台まで下落という過去最大規模の下落を記録するなど、ビットコインの価格が今までになく上下しています。
CBOEが先物取引を開始した数日後CMEも先物取引を開始しました。その後も米国の証券会社のキャンター・フィッツジェラルドがビットコイン先物の仲介業務に参加したり、金融商品の取引所を運営する米国のナスダックが先物取引の上場を計画していることが発表されました。
さらに、CBOEは先物商品の上場に続いて、上場投資信託(ETF)や指標連動証券(ETN)なども計画していると言及し、今後も大手の投資家が続々と参入することになります。それに伴い、仮想通貨市場では今まで以上に大きな価格変動が起こることが予想され、より一層の注意が必要です。