「金融秩序を乱す」として、中国ではICOが全面禁止に
ICOは2013年に始まって以降、新興企業の資金調達の手段として徐々に認知されるようになり、2017年に大流行しました。しかしICOの流行に伴い詐欺まがいの案件も横行し、投資家にとってリスクの多い市場になったため各国の政府としても対策を取らざるを得ない状態になっています。そのICOの規制について各国の対応をそれぞれ見ていきましょう。
[図表]ICOに対する各国の反応
1.中国
(1)ICO全面禁止
2017年9月4日付の日経新聞によると、仮想通貨のマイニング大国である中国金融当局は、2017年9月「ICOは違法な資金調達法で、既存の金融システムに悪影響を及ぼす」との見解を示し、独自に仮想通貨を発行して資金を集めるICOを禁止すると発表しました。
まとめると以下のようになります。
1.組織企業であれ個人であれ、中国国内でのICOによる資金調達を今後一切禁止する。
2.ICO資金調達プラットフォームにおける取引および交換サービスの提供を禁止する。
3.銀行や金融機関がICO取引に関連する業務を行なうことを禁止する。
4.今までにICOで調達した資金は投資家に返却するのが好ましい。
かねてより中国金融当局は、ICOの大部分は「金融詐欺であり、ネズミ講(pyramid scheme)である」と警告していましたが、今回の発表で、ICOは「許可を得ていない違法な調達行為」と位置づけ、金融秩序を乱しかねないと判断し、即座に禁止されることとなりました。
取引停止、閉鎖へと追い込まれた仮想通貨取引所
(2)仮想通貨取引所閉鎖
同じ2017年9月の中国の金融ニュースメディア「Caixin(財新)」の記事によれば、中国人民銀行などの金融当局は60か所の仮想通貨取引所のリストを作成し、これらの取引所に対して調査をし、その報告をするよう求めました。
この影響により、中国の仮想通貨の大手取引所である「OkCoin」「Huobi」「BTCChina」は取引停止に追い込まれました。また、新規のICOの受付についても停止されました。これを受け、中国のICOトークンの大手取引所であった「ICOage」と「ICO.info」はサービス停止という形となりました。
中国は世界でも最も仮想通貨の取引が活発な市場であり、ICOでもその資金調達、投資双方にとって重要な拠点となっていました。中国政府がこういったICOの規制に乗り出したのは、投資家保護のためにICOによる詐欺の防止やマネーロンダリング対策を狙ったと言われています。