2017年、ICOの資金調達額は「約6600億円」を突破
前回の続きです。
このようなトラブルにより、ICOは一時期停滞したものの、その後「ICOバブル」と呼ぶべき状態が訪れます。コインスピーカードットコムによると、ICOによる資金調達額は2016年3月には1000万米ドル(約11億円)、2017年4月には8000万米ドル(約88億円)と一年で8倍、5月には2.3億米ドル(約253億円)、6月には5.6億米ドル(約616億円)になり、9月には24億米ドル(約2700億円)、2017年を振り返ってみると60億米ドル(約6600億円)を突破するなどICOが急激に浸透することで巨額の資金を集めるに至っています。
以下に2017年のICOでの資金調達ランキングを示します(2017年12月31日時点)。
1位 Hdac 2億5800万米ドル (約284億円)
2位 Filecoin 2億5700万米ドル (約283億円)
3位 Tezos 約2億3232万米ドル (約256億円)
4位 EOS Stage1 約2億3000万米ドル (約253億円)
5位 Sirin Labs 約1億5790万米ドル (約174億円)
6位 Bancor約1億5300万米ドル (約168億円)
7位 Polkadot 約1億4430万米ドル (約159億円)
8位 QASH 約1億820万米ドル (約119億円)
9位 Status 約1億760万米ドル (約118億円)
10位 COMSA約9560万米ドル (約105億円)
(出典:https://www.coinspeaker.com/2018/01/07/top-10-initial-coin-offerings-ICOs-2017/をもとに作成)
日本においてもICOの波が到来か!?
このようなトレンドの中、日本においてもICOの波が到来しています。2017年8月、日本の仮想通貨取引所の一つである「Zaif」を運営するテックビューロ社が、「COMSA」というICOやプロジェクトのためのプラットフォームを提供することを発表しました。COMSAのトークンセールは2017年11月まで実施され、最終的に資金調達額は100億円を突破しました。COMSAはブロックチェーン技術や仮想通貨取引所Zaifの運営など技術力で実績があり、日本のICOでは最大の案件として今後も注目が集まりそうです。
次に「コイン」(QUOINEX)についてお話しします。仮想通貨取引所QUOINEXを運営しているQUOINE株式会社が、金融庁に正式に登録された仮想通貨交換業者としては初のICOを2017年11月に実施しました。
このプロジェクトは、仮想通貨市場に流動性を与える新世代の金融サービスを提供するプラットフォーム「LIQUID」上で実施され、「キャッシュ」(QASH)というトークンが用いられました。
「QUOINEのLIQUIDプラットフォームは、仮想通貨経済全体に利益をもたらす金融ユーティリティです。トークン発行者、トークンホルダー、イノベーター、次世代金融サービスのユーザー全員が流動性に貢献することで、全ての人が利益を享受することを目的としたプラットフォームです。」
(出典:https://liquid.plus/ja/ LIQUID公式ホームページ)
LIQUIDプラットフォームでは、世界中の各取引所のオーダーブックを集め、全世界の人が同じ条件で売買することが可能になります。特徴としては、10社以上の海外取引所に接続し、世界の取引所からオーダーを収集し、日本円、米ドル、ユーロ、豪ドルなど様々な国の法定通貨で売買が可能であるということが挙げられます。
また、LIQUIDには、リアルタイム為替変換エンジンが搭載されており、注文はすべて自国の通貨単位に変換して見ることができます。例えば、アメリカからの注文で「1ビットコインが1万米ドル」がある場合、日本から見ると「1ビットコインが110万円」の売り注文として見ることが可能になります。
トークンセール期間は2017年11月6日8日の~3日間でしたが、ICO初日で販売したトークンの80%が売り切れ、最終的に集まった資金は約124億円にも上りました。これは約109億円を調達したCOMSAを上回る日本最大級のICOとなりました。