小事に囚われると「得ることができたチャンス」を失う
機会損失というのは、みんなが見逃してしまいがちな盲点だ。目に見える実害がないし、自分のコンフォートゾーンにぬくぬくと留まっているため、損をしていると夢にも思わないまま毎日を過ごしている。しかし実際は、やるべきことをやるべきタイミングで躊躇し取り組まなかったことによる、時間損失、経済的損失、人との出会いの逸失についても、しっかりと正面から捉えなければならない。
「小川のめだかに囚われると、大河の鮭に気付かない」
機会損失については、孔子も驚くであろう、僕の自信作であるこの一言に凝縮されているはずである。小事に囚われると、結果として、得ることができたチャンスを失ってしまう。最適化することは、結果としてチャンスを増やすことでもあるのだ。
あきらめる理由が「会社が禁止しているから」では・・・
現在の日本では、多くの会社で副業が禁止されている。企業の機密漏洩に対する対策でもあり、本業への集中力の欠落を危惧したものでもあるので、経営側からすれば、当然の措置なのかもしれない。
しかし、「会社が禁止しているから」という理由で、やりたいことを諦めたり、より経済的に自由になりたいと望む気持ちを抑えるのは、永遠に会社に隷属し、依存し続けることを望んでいることと同義だ。
ここで、うっかり会社の意向に従ってしまうのが大多数の日本人である。真面目に会社の意向に従っていても、自分の与り知らぬ所で、会社が粉飾決算をしていたり、データを改ざんしていたり、設備管理がずさんで大問題になったり、挙句の果てに倒産なんていうことも、現実に大手企業で頻発している。
いつ、どういう風に会社が自分の意図しない方向に行くかは、誰にもわからない。「会社ありき」の感覚が根強くありすぎて、一番大切な自分自身を疎かにしているのだ。
日本でいち早く副業(複業)を認めている会社といえば、ヤフーやサイボウズなどが有名だ。サイボウズでは、2012年から社員の副(複)業を認め、個人の自立と多様な働き方の実現を目指してきたという。その結果、社内では得られなかった知識、経験、人脈を外から呼び込むことができるようになったそうだ。起業をして、退職してしまった社員もいたようであるが、優秀な人材を社会に送ることができたことで、社会全体にとってはプラスに働くし、いつか、思いも寄らぬ形で還元されるかもしれない、という思いがあるようだ。
企業の中の一人ではなく、個人の集合体が企業である、と認識することが現代ではとても重要である。スピーディーに意思決定をすること、今の自身の状況を冷静に把握することこそが、あなたの資産形成にも重要な意義を持つことになる。
「根拠のない恐怖は無視しろ」by イーロン・マスク
電気自動車や自動運転の技術で有名な、テスラモーターズの最高経営責任者である、イーロン・マスクはシリアルアントレプレナーの代表格と言える。
もともと起業家が多く、常に新しいビジネスが誕生しているアメリカで、自らが立ち上げたビジネスをほとんど成功させている彼は、行動を起こすのに必要な考え方として、「根拠のない恐怖は無視しろ」と言っている。感情論に振り回されやすい僕たちにとって、根拠のない恐怖というものは、自分たちを誤った方向に煽動する激しい圧力のようなものだ。その恐怖を「なぜ」感じるのか、その恐怖に根拠があるのか、と言葉にする姿こそが、前進するのに必要な考え方なのだ。
彼はさらに、「他人にとって自分が高い価値を出せると自信がある分野に、自分の力を集中することが重要だ」、とも述べている。これこそが、まさに僕が冒頭から述べている「リソース」なのだ。
著書『ZERO to ONE』で有名なのは、ピーター・ティールだ。イーロン・マスクとともにPaypalの創業に携わり、彼もまたその名を全米に轟かせている。
ピーターは採用面接の際、必ず次の質問をするという。
「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」
ここで言う「大切な真実」というのは、新しいビジネス、アイデア、商品、などと置き換えると分かりやすい。皆さんはこの問いにどう答えるであろうか?
なんとも、答えづらく、そして正解がなさそうな問いだ。ただ一つ言えるのは、世間一般の常識や、社会はこういうものだという思い込み、それらを持ち続けたままではこの質問に答えることができないということだ。これまでの世界を超越したところに「大切な真実」が存在している。