スキルこそ「経済的資産」の大元である
資産、という言葉を、嫌いな人はいないだろう。誰だって、多くの資産を持ちたいと願うはずだ。
資産というと、誰しもが経済的なものを考える。不動産や株式、債券などがそれだ。しかし、資産とはそれだけには限らない。今回、資産も3種類に分けることにした。その3つとは、「経済的資産」「人的資産」「健康資産」である。
まずは経済的資産について。経済的資産については、現金、不動産、株、債券や今流行りの仮想通貨、これらのものを示すが、実際にそれらを作り上げるスキルについても、資産と言えよう。
僕は不動産投資をしている。不動産投資という言葉は、ほとんどの方が聞いたことはあると思うが、実際に行動に移して、不動産を購入した人は一般的にはほとんどいないだろう。実際、何億もする物件など、普通の感覚ではおいそれと購入しようとは思わない。
不動産投資を始めようとするのであれば、まずは知識と戦略が必要である。どのような物件を買うべきか、どのような手続きを踏まなければならないか、どうすれば実際に購入できるのか、という知識をまずは取得する。その上で、実際に購入するという試練をくぐった者だけが、書籍や音声だけでは手に入らない本物のスキルを身につけることができるのだ。
もし、そういったスキルを持つことができれば、今後、二次関数的に資産を築き上げることが可能となる。スキルを持つということは(実際に行動力があれば、の話だが)、潜在的資産を持っているのと同じことである。
さて、この連載を読んでいるあなたは、専門性があり、周囲の人より生産性が高いと言われている人が多いだろう。しかし、そんなに素晴らしい能力を持っているはずのあなたは、本当に職場から正当な評価をされているだろうか? どんなに他の人より時間もつぎ込み、効率良く仕事をしていても、周りと同額の給料しかもらっていないという状況は、控え目に言って、おかしいのだ。
僕が研修医時代の頃は、時給換算したら日中のコンビニバイトの時給より安い時期があった。もちろん下っ端時代なので、スキルを勉強していたと考えれば納得できるかもしれないが、患者さんの悩みを傾聴し、押し付けられた様々な雑事をこなし、日々医療に正面から向き合う、その仕事内容はしっかりと金銭的評価を受けて然るべきなのだ。さすがにコンビニバイトはない。
一切スキルを得られない職場で、適正な報酬さえも得ていないのであれば、その現状はおかしいと考え、仕事を見直す時期だろう。報酬は誰かが決めるのではなく、自分で決めるものなのだ。誰かにあなたの金銭的評価を任せていたら、値踏みされて終わりだ。
経済的場面においても、様々な面で最適化が必要だ。がめつい、と思われるのが嫌だったら、それで良い。適正に評価をされず、上司や経営陣からは「お、あいつ、安くて使いやすい人材だな」と思われてしまうのがオチだ。僕が冒頭から言っていることを思い出してほしい。自分の人生の舵は、自分自身で握るのだ。
一つに集中投資するのも「最適化」のひとつ
僕は、様々な人のお陰で資産を着実に増やすことができた。周りの人の協力がなければ、ここまで辿り着くことはできなかっただろう。
ただ、もちろん僕だって、何の考えもなしにここまで来たわけではない。この地点まで来て初めて、資産を増やすコツというものが複数あるとわかった。少し話は逸れるが、もし、あなたが資産を増やしたいのであれば、参考にしてもらいたい。
まず一つ目の考え方として、「投資には自分が不安になるぐらいのお金を投じよ」、ということである。
巷の投資本では、大体こういうことが書かれている。
「投資は余剰資金でやりましょう」。
まさにその通りである。生活費は投資に投じるべきではない。
しかし、5万円を投資したからといって、お金持ちになれるか、というと、それはまた別の話だ。仮に年間100%増える、非常に優良な投資先だとしても、5万円しか入れなければ、それは10万円にしかならない。人生を変えるには、少なすぎる金額だ。仮に5000万円の投資であればどうだろう。それなら1億まで増える。
至極当たり前のようだが、非常に大切な真理である。リスクを背負わなければ、行きたいところにはいけない。ジャングルの中の財宝が欲しければ、危険な動植物に出会うことを覚悟で踏み出す勇気が必要だ。安全策をとって、ジャングルの端から、1本1本木を切り倒し、害虫を駆除しながらゆっくり進んでも良いが、財宝に辿り着くには相当の年月がかかるだろう。
虎穴に入らずんば虎子を得ず
枝先に行かねば熟柿は食えぬ
ノーペイン、ノーゲイン
おそらく、投資で爆発的に資産を増やした人は、過去に資金をショートさせたり、何らかの失敗をしている人がほとんどだろう。失敗していない人は、皆無と言ってもいいかもしれない。これは、成功する投資家は、皆リスクを冒して、投資(投機)を行っており、軌道に乗ったら、リスクを最小限にして、長期間投資活動を継続しているのだ。
数十万円を「分散投資」などと言って、複数の低リスク案件に分散している人を見かけたら、「投資を慎重に考えていて素晴らしい」などと考えないほうが良い。おそらく、その方法はいつまで経ってもほぼ資産は増えず、何も失わない代わりに何も手に入れることもないだろう。どこかに集中して「張る」という、世の中的に間違いだと言われているやり方が、実は成功への近道だ。余計なものは捨てて、一つに集中する。これも紛れもなく、最適化なのだ。