ロバート・キヨサキ氏の「ESBI」の概念はもう古い!?
ESBIとは、金持ち父さんシリーズで有名な、ロバート・キヨサキ氏が、収入を得るためのモデルを4つに分けたキャッシュフロー・クワドラントと呼ばれるものである。
E=Employee(従業員)
S=Self-employee(自営業者)
B=Businessowner(ビジネスオーナー)
I=Investor(投資家)
しかし、今やこの考えは陳腐化しつつあり、現代では、この枠組みを飛び越えて活躍している人たちが多数いる。逆に飛び越えている人ほど、より資産を増やしているはずである。
どこかの企業に属しながら、積極的な情報発信をし、ビジネスをしている人もいるし、エンジェル投資家として、複数のビジネスオーナーになっている人もいる。医師として勤務しながら、医療ベンチャーを立ち上げる人だっている。このESBIの概念は、現代においては、ほぼ瓦解してきており、より本質的な「やりたいことをやる」「リソースを最大限に活かして、様々なことをする」という働き方に移行しつつある。
投資家やビジネスオーナーだから良い、自営業者や従業員だから悪いという単純な構図ではない。好きなことであればプレイヤーとして活動すれば良いし、興味ある分野であれば、そこに投資をしても良い。どの領域もまたいで、自分独自の領域を構築していくのが、現代の働き方である。
生涯の仕事を一領域に絞る必要はない
フランスの経済学者、ピケティのr>gの不等式をご存知だろうか。rは資本ストックの収益率、gは経済成長率を表している。つまり、経済成長率よりも、株や不動産、債券など投資による資本収益率のほうが伸び率が良いということを表す式だ。もっと噛み砕いて言うと、投資で得る収益の伸び率は常に、労働で得る賃金の伸び率を上回るということである。
とはいえ、この世の全員がビジネスオーナーや、投資家になりたいわけではない。志さえ伴っていれば、投資家がビジネスオーナーに進もうが、投資家がどこかに雇用されようが、一向に構わない。さらに言えば、生涯の仕事を一領域に絞る必要はなく、複数のものを掛け合わせても一向に構わない。会社で働きながら、オンラインショップを立ち上げれば「E」×「S」になるし、自営業をしながら投資を始めれば「S」×「I」になる。こういった掛け算を増やしていくことで、一つの仕事に依存しすぎることはなくなる。
僕自身の話をすると、病院で医師として働き、不動産投資家になり、今度は、クリニックを買い取り、理想の医療を追求することにした。本の著者にもなり、こちらもどこかに属してやっている事業ではない。あなたにリソースがあり、やりたいことがあるのであれば、壁を感じたり、作る必要はない。
世間一般の認識だと、数年は一つの仕事のみをやり続けなければ大成しない、という風潮がある。本書でも書いているように、成功するためにはリソースは必要だし、一つのことに熱中するパワーは、確実に必要だ。しかし、異なるように思われる領域を複合することでの化学反応は忘れてはいけない。新しい世界に触れ、これまでの自分と、その新たな価値観を掛け合わせることで、自分の中の潜在的な可能性も覚醒する。それが自分の軸の強化に繋がり、働き方もどんどん最適化されていくのだ。