S&Pケース・シラー住宅価格指数とは
S&Pケース・シラー住宅価格指数とは、アメリカの住宅価格の水準を示す指数のことです。アメリカ主要都市の対象地域における、一戸建て住宅の再販売価格を一定期間調査し、そのデータを元に、ファイサーブ社が住宅価格指数を算出し、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ社)が毎月発表しています。
S&Pケース・シラー住宅価格指数は、アメリカ国内での住宅価格の変動を表す、最も信頼できる指数の一つとして、重宝されています。
S&Pケース・シラー住宅価格指数の歴史
S&Pケース・シラー住宅価格指数は、カール・ケースとロバート・シラーの2人が中心となって1980年代に開発されたものです。
ウェルズリー大学のカール・ケース教授は、1980年代前半のボストンが住宅ブームに沸いていた当時の状況を見て、「住宅ブームは長続きしない」と考え、同一住宅の販売価格を比較するための算出方法を考案しました。
その後、バブル経済や行動ファイナンスを専門とするエール大学のロバート・シラー教授と共に、この算出方法を発展させ、全米住宅価格に関する「住宅価格指数」を開発したのです。
1991年には、2人はエコノミストであるアラン・ワイスと共に、その指数を商業的に算出し、市場に提供することを目指してケース・シーラー・ワイス社を設立しましたが、2002年にファイサーブ社に買収され、現在のファイサーブCSW社に至ります。
アメリカの景気指数としての側面も持つS&Pケース・シラー住宅価格指数
S&Pケース・シラー住宅価格指数は、アメリカの景気指数としての側面も持ち合わせています。
S&Pケース・シラー住宅価格指数は、開発された当初から注目されていたわけではありません。アメリカで一躍注目されるきっかけとなった出来事が、アメリカの住宅バブルの崩壊とサブプライムローン問題です。
上昇を続けることに疑う余地のなかった住宅価格が2007年頃から下落しはじめると、住宅価格上昇を前提としたローンである、「サブプライムローン」が次々と破綻し、これが銀行など金融機関の経営に打撃を与えたことにより、「リーマン・ショック」を引き起こしました。「アメリカ経済の回復には住宅価格の回復が不可欠だ」との認識は瞬く間に広がり、s&pケース・シラー住宅価格指数も瞬く間に注目を集めるようになったのです。
S&Pケース・シラー住宅価格指数の中でも、毎月発表されるニューヨークやボストンなど主要都市の「20大都市圏住宅価格指数」や四半期ごとの発表となる「全米住宅価格指数」は景気を判断する上で特に注目されています。