遠方であっても「関係者との連携の図り方」は同じ
ここまでの連載で、満室経営の実現のためには、管理会社を中心とした賃貸仲介業者、ならびにその営業マンの力がいかに大切かを感じていただけたのではないかと思います。
大家としての経営手腕。それは、いかに現場の担当者が気持ちよく動ける環境を作ってあげるか、ということに尽きます。会社で良い上司がやっていることと同じです。
私は今、400戸以上の部屋を所有し、平均96%を超える入居率を実現しています。これまでお話ししたこと以外に、特別なことは何もしていません。
不動産投資では、これもすでに説明したとおり、自宅から遠く離れたエリアにある物件を所有するケースも決して少なくありません。そのようなときに、どうやって関係者との連携をうまく図るのか? 私の答えは簡単。遠方の物件でもやり方はまったく同じです。
私は大阪府東大阪市在住ですが、自宅からは遠く離れた福岡市と高知県の四万十市にも物件を所有しています。自宅からは片道半日程度(もしかしたら、それ以上)かかる距離です。しかも電車や飛行機を乗り継がなければ行くことができません。さすがにここまで離れていると、簡単に現地を訪問することなどできません。前にも書いたとおり、せいぜい年に1回というのが限界です。
何の自慢にもなりませんが、四万十市には現地調査に行ったきりです。もちろん、地元の賃貸仲介業者(兼管理会社)とは、メールと電話だけの対応です。それでも、購入してからほとんど満室の状態が続いています。
エリアの選択、大家の熱意、緻密なコスト管理がカギ
遠隔地でも満室を継続できる理由は3つあります。
1つ目は、あらかじめ入居率の高いエリアを選んで物件を購入したこと。これは大原則ですから、あなたにもぜひそうしていただきたいと思っています。しかし、それだけで高い入居率を維持することはできません。
2つ目は、大家であるあなたが満室を絶対に諦めないことです。つまらない精神論のように聞こえるかもしれませんが、経営者であるあなたが満室への努力を怠ってしまうようでは、絶対にその物件は満室にはなりません。熱意は人を巻き込みます。巻き込まれた営業マンなどの関係者が、あなたの満室経営を支えてくれるのです。
そして3つ目は、管理会社や賃貸仲介業者などからの見積もりを精査し、返事をできるだけ速やかに行うことです。例えば、リフォームの見積もりを受け取ったなら、そのままの金額で工事を行うか否か、遅くとも翌日には返事をします。金額が高いと思えば、どの工事がどれだけ高いかを具体的に示します。
こうした当初の金額確認は特に重要です。これをおろそかにすると、業者は「見積額が高くても何も言わない大家」であるとあなたを軽く見るようになります。ですから、「工事代金にはうるさい人だ」くらいの印象を最初は与えましょう。これを徹底すれば、次回からはあなたの望む金額での見積もりとなります。
上に挙げた3点は、遠隔地かどうかにかかわらず私が実践していることです。距離を理由に満室経営を諦めてしまうのは、あなたに不動産投資家としての経営手腕がないことを認めるのと同じです。遠距離恋愛でもうまくいくカップルはたくさんいます。不動産投資でも同じこと。すべては大家としてのあなたの熱意にかかっています。