営業マンに「自分自身を覚えてもらう」ことが大前提
あなたの物件を「決め物件」にする秘訣。それは、営業マンにあなた自身を覚えてもらうこと以外にありません。
どの賃貸仲介業者でもそうですが、営業マンは実に多くの物件を管理しており、全部の大家をすべて記憶しているわけではありません。このカベを越えて、決め物件を多く抱える大家であることを認識してもらうためには、当然ですが、留意すべきポイントが5つあります。まずはその内容について見ていきましょう。
(1)募集条件を柔軟に変更できる
一般に、家賃は近隣の相場に合わせる形で募集をスタートしますが、なかには新築物件であることを理由に、相場よりも高い家賃にするケースも少なくはありません。おそらくは家賃が理由で入居が決まらないとき、営業マンは相場家賃への条件変更を、大家に対して求めるのが一般的です。
しかし、すべての大家が耳を傾けるわけではありません。特に地主系大家の方々のなかに家賃を下げない人が多いのですが、それではなかなか入居が決まらず、営業マンの成績や大家に対する印象も悪くなってしまいます。
言いなりということではありませんが、募集条件を変更できる柔軟さは、大家としてのたしかな強みになります。ぜひ心にとめておいてください。
(2)退去後、すぐにリフォームをする
退去後にすぐリフォームしない大家を今でもときどき見かけます。入居が決まるかどうかわからない状態でのリフォームは費用がもったいないと考えるからです。
ですが、あなたが入居希望者なら、荒れ放題の部屋を内見して、その部屋に住みたいと思いますか? 私でしたら、そんな部屋に住むのは嫌です。
営業マンもそれは同じで、リフォーム前の部屋を案内することはまずありません。内見の数が減れば契約の機会も減ります。大家にとってもそうかもしれませんが、営業マンにとってもまったくプラスにならないケースです。
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(3)広告費をケチらない
賃貸仲介業者にとって、広告料収入はとても大事な要素です。一つの部屋の契約を取る手間はどれもほとんど変わりません。
ですが、同じ手間なのに入ってくるお金が2倍になるのであれば、どんな営業マンでも多くもらえるほうを案内するに決まっています。
目先の広告料を惜しみ、契約がなかなか決まらないだけでなく、営業マンからも十分な信頼を得られない。それによる損失の大きさをぜひ考えてみてください。
(4)営業マンからの質問や要望には迅速に答える
営業マンは日々、多くの入居希望者と交渉を行っています。特に家賃の交渉について言えば、「家賃を少し下げてくれたら、ここに決めたい」との発言は、実によく聞かれるものだと言ってよいでしょう。
それが仮に決め物件であれば、営業マンは何としても逃したくはありません。なぜならば、大家は一般的に複数の賃貸仲介業者に依頼をかけるので、自分が逃せば、その入居希望者は間違いなく他店に流れてしまうからです。
そんなとき、営業マンは大家に次のような電話を入れます。「家賃を少し下げてもらえませんか、そうすれば今すぐに契約をいただけるのですが」こういう電話には即答が原則。「少し考える」では、間違いなくその希望者は他へ行ってしまいます。
この場合も同じく、失うのは目先の家賃だけでなく、営業マンの信頼です。ご如才なきことながら、携帯電話は常に出られるようにしておいてください。
(5)入居状況を把握している
これは実際に営業マンから聞いた話ですが、退去後の空室期間が長く続いても、早期に契約してほしいと連絡してくる大家はほとんどいないとのことです。その理由は、管理会社に任せっきりにしていて、自分自身の目で、入居状況をリアルに把握していない点にあると私は考えています。
これでは営業マンのやる気も湧きません。そんな大家の物件に優先的に対応しようなどとは絶対に思いません。入居状況のメンテナンスは、営業マンのメンテナンスであると心得ましょう。
いかがでしたでしょうか? 繰り返しになりますが、営業マンは決め物件を何より優先して案内します。決め物件を多く抱える大家になることが、満室経営を実現する重要な要素です。
そんな大家として認識してもらうためには、確実にこの5点を実践してください。それもまた大家としての経営手腕の一つなのですから。