パートナーには「誠意」「熱意」「求心力」が必要
クリニックの開業後、基本的にはドクターとパートナーとは引退するまでという長い期間、付き合っていくことになります。それだけに、ドクターとパートナーとは常に本音で話し合える関係、言いにくいことでもお互い言い合えるような関係を構築することが大切です。
このような関係を構築するためには、求心力のあるパートナーを選ばなければなりません。それも組織のトップにだけ求心力があれば良いというわけではなく、所属するスタッフ全員が常に誠意と熱意を持って臨んでいることが重要です。こうした組織にはおのずと求心力が生まれ、顧客も自然と増加していくのです。
どんなに小さなことでも疑問があれば気軽に聞ける、すぐにアドバイスを返してくれる、また、些細なことでも全力を尽くして対応してくれる、こうした積み重ねがあってこそ、信頼しあえる関係が生まれるのです。誠意と熱意のない付け焼き刃な対応では、厚い信頼関係が構築できるわけはなく、真の良きパートナーとしてわかり合える日は来ないでしょう。
終身担当者制は、責任の所在が明確となるため、担当者が常に緊張感を持ってサービスの提供を継続することが可能となりますし、ご多忙なドクターは変更にともなうストレスを感じることもありません。
担当者を「変更しない」会計事務所を選ぶべき理由
しかしながら、巷では2年ごとに担当者を変更する会計事務所が一般的なようです。これは、クライアントと担当者が長期間、親密な関係を継続していると、その担当者が独立開業する際に当該クライアントを無断で持って行ってしまうことが往々にしてあるため、所長がそれを警戒しての防止策のようです。
こうした慣習は、あくまでも自身の組織の保全にのみ固執したものであり、クライアントに対するサービスを重視した視点からかけ離れたところに位置しています。クライアントの立場に立って真摯に考えるのであれば、長い年月にわたって厚い信頼関係で結ばれている担当者を一方的に変更するということは、クライアントに対する責任放棄であると言われても仕方がありません。
筆者は常日頃から、「クライアントから『担当者が変わるのなら、顧問契約を解除する』と言われるぐらいになれ」と事務所のスタッフには話しています。こうしたモチベーションのもとでこそ、誠意と熱意から求心力が生まれるのです。その結果、クライアントから満足していただけるレベルの高いサービスを提供することが可能となり、長期間にわたる厚い信頼関係が実現するのです。