前回に引き続き、副業と会社の就業規則に関する疑問について特定社会保険労務士・CFPの榊裕葵氏が解説します。※本連載では『新しい副業の教科書』(インプレス)から一部を抜粋し、有限会社ガーデンシティ・プランニング代表取締役・藤木俊明氏が従来の副業とは違う「新しい副業」を紹介します。

たまに不用品を転売する程度なら「副業」にはならない

 Q  フリマでも副業として届けるべきでしょうか?

 A  たまに不要品を処分するくらいなら副業申請は不要でしょう

 

地域のフリーマーケットがあれば不定期に出店し、不要品を販売して楽しむという程度、また同様に、フリマアプリで不要品を販売するという程度であれば、日常生活の範囲ですので、会社への副業申請は必要ないでしょう。

 

しかし、2017年11月の厚生労働省のモデル就業規則の変更に合わせ、自分が勤務する会社の就業規則が「全面禁止」や「許可制」から「届出制」に変わり、実態としても、名実共に副業解禁の社風となったならば、フリマやその延長上のような副業であれば正直に届け出てみたらどうでしょう。「本業に差し支えない範囲であること」「コンプライアンス的に問題ないこと」「競業しないこと」であれば問題ないと思います。

 

こういうときは申請すべきでしょう
定期的にフリマに出店するとか、インターネット上のオークションサイトに常時出品するということであれば、副業が完全に自由となっている会社を除き、会社へ副業申請する必要があると考えられます。また、中古品の販売を「業」として定期的に行うことを事業とするなら監督官庁への届出が必要になります。自分で許可申請をすることも可能ですが、法的知識も必要になりますので、難しそうな場合は行政書士に相談ください。

副業によるケガは、「副業先の労災」を利用する

 Q  副業でのケガも本業の会社の労災は使えますか?

 A  本業の会社の労災は使えませんのでご注意を

 

副業をアルバイトとして行っているのであれば、副業で雇われている会社の労災を使います。

 

ただし、請負型の副業の中では労災を使えないとか、そもそも万が一のときの補償が完備していないところも少なくありません。同様に、副業を個人事業主や社長として行っている場合も「特別加入」という限られた例外の場合を除き、労災保険を使えませんので、基本的には自分で国保または健康保険を使うことになりますが、条件によっては国保や健康保険が使えない場合もあるのでご注意ください。

 

どちらにしても、副業時のケガで本業に支障が出てしまうと本業の会社とトラブルになることもあります。注意して副業の種類、副業の仕事内容を選びましょう。

 

副業といっても責任はあります
前述のように本業に支障がないことはもちろん、本業で知り得た守秘義務を守ること、また副業で知り得た情報を漏えいしないことなどについては、しっかり対応しないといけません。副業を募集する会社には、そのあたりの法的知識をしっかり教えてくれるものもあります。そんな会社を優先的に選ぶといいでしょう。 また、自分が個人事業主や社長となって副業を行う場合は、自分自身が全責任を負うことになりますから、より一層慎重な対応が必要になります。

社労士が考える「副業解禁」のメリット

「副業解禁」と聞いてネガティブな思いを抱いている経営者の方や、トップから対応を命じられて悩んでいる人事担当者も多いでしょう。実際経団連は当初反対の立場でした。しかし、逆に「社員の副業を経営のプラス」にすることも可能です。

 

社員に副業を許可すれば、副業を通じて、何か新しいスキルやアイデアを身につけ、本業の成果につなげてくれる可能性があるのではないかと前向きに取り組む企業が出てきています。ぜひこの機会にご検討ください。

 

●本業へのプラス効果、人材確保・・・ロート製薬の取り組み「社外チャレンジワーク」

 

ロート製薬では「社外チャレンジワーク」という制度を設けて、社員の副業を認めています。社員がどのような種類の副業を行っているかを把握することで、その社員の能力や適性をより深く把握し、本業の人事にも反映させられるでしょう。

 

さらに、新規事業への種まきという意味でも、多様な経験を社員にさせること。また、副業で社員が築いた外部人脈が、新規事業への参入のきっかけにもなり得るのではないでしょうか。

社労士から経営者へ・・・ぜひ「副業規定」の作成を

前述のように「副業で社員がケガをした場合どうするのか?」など、これまで起こらなかったような事象に遭遇することもあるでしょう。そのために、副業規程を作成することをおすすめします。副業の許可・不許可で社員が不公平を感じてしまわないよう許可基準の明確化が必要です。また、副業に起因するトラブルが発生したときに、会社としてどう対応するかという規程を前もって作っておくことが重要なポイントということになります。

 

●「副業」を申告しやすい会社へ・・・社員とのトラブル防止、社内ルール

 

多くの社員は、「会社に迷惑をかけない範囲で副業を行うから、会社もそれを認めてほしい」ということを望んでいるはずです。副業を打ち明けると、会社がどのような反応をするかわからないため、副業を隠さざるを得ないということになっているのが実態でしょう。

 

社員が副業を申告しやすい雰囲気をつくることで、社員の総労働時間を把握し、過重労働になりそうな場合は助言をしたり、副業の許可を取り消したりして、社員の健康管理を行うことができます。

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