日々の値動きに振り回されない「じっくり投資」
忙しいサラリーマンにとっては、日々の売買でキャピタルゲインを得るよりも、じっくり保有して配当や株主優待を得たいと思う人も多いでしょう。
2014年にスタートしたNISA(少額投資非課税制度)では、値上がり益だけでなく配当による利益も5年間非課税になるため、配当の高い銘柄やお得な株主優待を受けられる銘柄を長期でじっくり保有したいというニーズが高まり、高配当株や優待株に人気が集まっています。
配当の良しあしは、配当利回りという数値で判断することができます。配当利回りは、株価が安いほど高くなるので、市場や株価が低迷している時期に買っておけば、保有中ずっと高い利回りで運用できることになります。
また、株主優待も金額に換算できる内容であれば、配当利回りと同じように優待利回りとして計算することもできます。また、株主優待は配当と違って、NISA口座でなくても税金が課されないうえ、特に自社製品や自社店舗で使える金券などの場合だと、10%を超えるような非常に高い優待利回りが得られる銘柄もあるようです。
配当や優待を受けるには、基準となる「権利確定日」に株を持っている必要があります。この日に株主になっていれば、たとえ翌日に株を売ってしまっても権利は変わりません。
配当や優待が年1回の銘柄であれば、権利確定日も年1回ですが、半年に1度優待があったり中間配当を行う企業なら権利確定日も半年に1度訪れます。配当と優待の権利日は同じなのが一般的ですが、ずらしている企業もあるので確認する必要があります。
配当や優待が魅力的な銘柄には当然、それを狙った買いが集まります。十分な資金を持っている投資家であればじっくり長期保有するのでしょうが、そうでない投資家にとっては、権利確定日を狙って保有し、権利を得たら売却してしまえば、その資金をさらに別の銘柄にまわせるので効率的だからです。
「権利落ち日」には株価が大きく下落するケースも
権利確定日はその銘柄によって異なり、企業のホームページのIR欄(投資家向けに作られたサイト)や証券会社のウェブサイトなどで確認できます。ここで注意したいのは、権利確定日とされる日に株を買っても遅いという点です。
買った株が新しい株主に受け渡されるまでには3営業日かかります。このため、配当や優待の権利を得るには権利日の3営業日前までに株を買っておく必要があるのです。この日は「権利付き取引最終日」といいます。その翌日は「権利落ち日」と呼ばれ、この日に売却してしまっても前日に得た権利を失うことはありません。
こうしたことから、権利付き取引最終日に向けて買う人が増えて株価が上昇し、権利落ち日に一気に売られて急落するという傾向がみられます。こうした値動きは配当よりも株主優待の人気が高い銘柄に顕著で、権利落ち日には優待の内容を帳消しにしてしまうほど急落するケースもあります。