売却想定額など様々な情報を収集できる「Zillow」
日本で不動産を購入しようと思ったとき、皆さんは初めに何をするでしょうか? 不動産情報サイトにアクセスして、希望する予算やエリアを打ち込んで検索し、表示された物件をチェックする方が多いかと思います。お目当ての物件が見つかれば、その周辺にある同条件の物件と比較する人も多いはずです。そして不動産業者に行って、ネットに掲載されていない未公開の物件を紹介してもらうとともに、お目当ての物件をどれだけ値引きしてもらえるのかを探ってみるという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
アメリカで不動産を購入する際にも、同じようにネットで情報収集することが可能です。しかし、入手できる情報量は日本とは比較になりません。
アメリカ人が不動産を購入する際も、日本と同様に、まずインターネットで検索します。その中で多くの人が利用するサイトがあります。「Zillow」という物件情報サイトです。購入を検討している人は、「Buy」をクリックした後、希望するエリアを入力します。すると、そこにあるすべての物件に「売り値」が記載された状態のマップが表示されるのです。もちろん、すべての物件が実際に売りに出されているわけではありません。しかし、物件の相対的な評価やエリア内の価格変動をもとに、あらゆる物件の「売却想定額」が表示されているのです。
マイホームを購入した人には、ついつい「いくらしたの?」と聞きたくなってしまうものです。ところが、アメリカでは「Zillow」を見れば、その物件が大体いくらだったのか一目でわかってしまうわけです。
日本では「成約」価格は指定流通機構などに加盟する不動産業者を通して開示されるのが一般的です。誰もが見られるわけではありません。また、「Zillow」でチェックできるのは価格だけではありません。間取り、広さ、築年数、外観・内観写真などのほか、賃貸に出したときの想定賃料や過去の取引価格、その推移、購入した場合にかかる税金などまでわかってしまうのです。その掲載情報数は1億件以上ともいわれています。日本であれば「プライバシーを侵害している」と指摘されてもおかしくないほどの情報量なのです。
もちろん、これらの情報にはしっかりとした裏付けがあります。日本には不動産業者のみがアクセスできる会員制データベース「REINS」があります。同じように、アメリカにも不動産業者のみがアクセスできる「MLS(Multiple Listing Service)」という不動産情報システムがあり、この「MLS」には、アメリカ国内のすべての物件の取引履歴や登記情報、税金の支払い状況などあらゆる情報が蓄積されています。「Zillow」はこの「MLS」の情報を定期的に吸い上げて掲載しているのです。
とはいえ、「Zillow」も万能ではありません。最近は特に、更新スピードが遅くなっている印象があります。つまり、古い情報が表示されたまま、ということも少なくないのです。そのため、一般の方はまず、「Zillow」でおおよその相場感を把握し、不動産業者をあたって、「MLS」で最新の売り物についての情報を収集するのが基本なのです。
「REDFIN」では、オンライン上での取引相談が可能
このほかにも近年人気のサイトに「REDFIN」があります。こちらは2006年に誕生した比較的新しい不動産情報検索サイトです。「Zillow」と異なり、「MLS」の情報を吸い上げながら、現在売りに出されている物件のみを掲載しています。
「REDFIN」の特徴は、欲しい物件が見つかった場合に、オンライン上でエージェントを指定し、購入のオファーが出せる点にあります。実は、「REDFIN」そのものが不動産ブローカーなのです。そのため、1000人以上のエージェントを抱え、オンライン上で不動産取引の相談ができるようになっています。