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大規模修繕工事 理事会計画とスケジューリングのコツ

基本計画を明確化にし「事前方針書」としてまとめる

一般に60年とも80年ともいわれるマンションの寿命。その長期にわたる時間の流れのなかでそれぞれの大規模修繕工事の位置づけは違ってきます。実施計画に取りかかる前に、そのポイントをしっかりと決めてスタートすることが大切です。

 

大規模修繕工事の内容を決めていく過程では、過去からの流れを理解し将来を予測していくことが欠かせません。そのことを踏まえ、今回の修繕の目的を決定します。

 

ここまでを基本計画として明確にし、書面化して理事会でその内容を共有してから工事内容の具体的な検討に入るべきです。実行計画策定の途中で基本計画にブレが出るようでは多くの無駄な議論が発生し、何を目指して議論をしているのかがわからなくなってしまいます。

 

理事会は、検証や決定に長い時間がかかる組織であるが故に、ついつい本来の目的が曖昧になってしまいがちです。それを避けるためにも基本計画を書面でしっかりと確認し、常にそれを確認することを理事会の原則とすることが大切です。

 

とはいえ、さまざまな条件のなかで最初に定めた基本計画が変わってくる場合もあります。そんなときには多少面倒でも、改めて基本計画を修正し、理事会で確認合意するようにします。私どもコンサルタントの間では、これを「事前方針書」と称し、何かあれば必ずそこに戻るべき重要書類として活用しています。

年間15〜20回の理事会を最初からスケジューリング

大規模修繕工事の計画は一朝一夕にまとまるものではありませんから、多くの場合、最初にスケジュールを用意してそれに基づいた議論を進めていきます。

 

よくあるのが、決めなければならないことと必要日時を傍線で表したスケジュール表です。ところがこれは役に立ちません。理事の方々で常時理事会業務に従事している方はいないはずです。全員が仕事を持ち、日常的には会社に出社して理事会のために時間をとれるのは「線」ではなく「点」のタイミングでしかありません。

 

具体的には、それが理事会の開催日にあたるわけですが、それが月に一度の理事会であれば、理事のメンバーが集まる時間は年間に12回しかありません。つまり「12」という「点」で、やらなければならないことを振り分けたスケジュール表でなければ役に立たないのです。

 

そこで、年間の理事会開催の回数を決め、そこに必要となるすべての検証、決裁項目を割り振ることです。経験的には大規模修繕工事の調査から仕様の決定、工事会社の選定までを無理なく進めるためには、最低でも15回から20回程度の会合が必要となります。月に一度ではどこかで無理が発生します。最初から15~20回の理事会を年間スケジュールとして決定し、各回ごとのテーマ・目標まで準備してしまうことが成功する大規模修繕工事への近道なのです。 

株式会社翔設計グループ 代表取締役
一級建築士 

1953年生まれ。東京電機大学建築学科を卒業後、大手設計事務所を経て1985年に独立。現在の会社の前身となる事務所を設立。2年後に株式会社とし、同社の代表取締役を務める。建築総合コンサルティング業を営む同社の改修コンサルタント事業部では、マンション修繕コンサルティングを管理組合に対して行っており、関東を中心に、これまで携わった修繕コンサルティング件数は650件以上。その知見を活かし、2016年9月設立の一般社団法人防災事業経済協議会にて主幹理事、2017年11月設立の一般社団法人マンション改修設計コンサルタント協会にて理事長を務める。

著者紹介

連載理事として押さえておきたい「大規模修繕工事」の基礎知識

本連載は、2017年12月18日刊行の書籍『改訂版 マンション管理組合理事になったら読む本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

改訂版 マンション管理組合理事になったら読む本

改訂版 マンション管理組合理事になったら読む本

貴船 美彦

幻冬舎メディアコンサルティング

大規模修繕工事のタイミングは? コンサルタントはどうやって選ぶ? マンション理事を楽しむための秘訣が盛りだくさん! 自分たちが住む場所だからこそ、自分たちでよくしていきたい――。マンション理事と聞いて、堅苦しい…

 

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