前回は、マンションの大規模修繕工事計画において、理事がマンションの全体像を知っておくべき理由を取り上げました。今回は、大規模修繕において、直すべき箇所の見極め方について考察します。

住民が気にしてきた問題点を、理事会で集約・明確化

大規模修繕工事のための建物調査によって、これまで住民がそれぞれに気にしてきた問題点が理事会に集約され、明らかになります。

 

たとえば、暗くて危ない、開閉しにくい、いつもジメジメしている、水はけが悪い、滑りやすい、安っぽい部分がある……などといった点は多くのマンションで問題となってきます。

 

もちろん、どんなマンションにもちょっとした短所や欠点はありますし、どんな建物でも完成後に利用しているうちに見えてくる不具合は存在します。それらには、簡単に直せるものとそうでないものがありますが、これから先もずっと我慢をして不満を抱えつつ暮らしていくのは問題ですから、直せるのであれば最初の大規模修繕の機会に直してしまうべきです。

集会室などの共有施設は、できる限り修繕候補に

また、集会室や多目的ルームなどの共有施設をどうするかが問題になることもあります。

 

共有とはいえ、実際には住民全員が利用する訳ではないこともあり、劣化が進み室内が汚れていても「壁紙などはどうせまた汚くなるからこのままで……」とやり過ごすケースに度々遭遇します。しかし、小さな部分で節約するよりは、この機会に新築時と同様以上に修善するという判断のほうが賢明です。

 

これまでよりも少しでも美しく、使いやすくなるのなら、そのほうがはるかに有益です。きれいにして活性化させることを考えるべきといえます。また、集会室は、通常、理事会が開催される場所であり、行政に置きかえるとすれば議場に等しい空間です。決して華美にする必要はありませんが、マンションのグレードに見合った空間であることが望ましいと思います。 

本連載は、2017年12月18日刊行の書籍『改訂版 マンション管理組合理事になったら読む本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

改訂版 マンション管理組合理事になったら読む本

改訂版 マンション管理組合理事になったら読む本

貴船 美彦

幻冬舎メディアコンサルティング

大規模修繕工事のタイミングは? コンサルタントはどうやって選ぶ? マンション理事を楽しむための秘訣が盛りだくさん! 自分たちが住む場所だからこそ、自分たちでよくしていきたい――。マンション理事と聞いて、堅苦しい…

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