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マンションの修繕計画を「10年単位」で考えるべき理由とは?

前回は、管理組合理事として大規模修繕工事を首尾よく進める方法を見ていきました。今回は、マンションの修繕計画を10年単位で考えるべき理由を取り上げます。

マンションの保全技術は「システム的に」機能している

「なぜ定期的に大規模修繕工事を行うのか?」という質問を受けることがあります。前に挙げた合理性の話とも関連しますが、大規模修繕工事の時期に差しかかっていても各マンションの事情で、本当にその工事が必要かどうか迷うケースがあります。

 

たとえば、修繕工事の予定箇所に該当していても、ここはもう少し先延ばししても良さそうだ。こちらは数年前に先行して修繕したばかりだし……などといった理由で、その費用を次の機会に回した方が合理的ではないかと考えてしまうのです。

 

もちろん、それも一理ありますが、別の観点からいうとその考え方には非常に大きな問題があります。それは次のことが理解されないことによって起こってしまう事態といえます。

 

実はマンションの保全技術は、システム技術なのです。細かい部位や分野ごとの耐用年数や仕様を考えすぎることで、結果的により重要で総合的な保全システムを壊してしまう可能性が高まります。これは、もっとも避けなければならないことといえます。

システム維持のために「計画的な」大規模修繕工事を

工事時期とその内容を特定するということは、修繕を総合的にわかりやすく整理して誰が担当しても間違いの起こらないようにするシステムそのものといえます。そして、このシステムを維持するためには、定期的な大規模修繕工事が必要になってくるのです。

 

理事が代替わりを繰り返そうと、その時点での理事にとって分かりやすく、できるだけ単純でシンプルな保全システムを継続することが大切です。それにより、結果として継続性のある優れた改修が実現し、経済的な合理性にも合致したものとなる場合がほとんどなのです。

 

ですから管理組合は、10~20年という単位で見たときにトータルで優れた修繕計画を考えなければなりません。長期修繕計画とはそのまとめにほかならないのです。修繕をシステム技術として捉えれば、それが可能になります。いい加減な長期修繕計画しかないマンションは、どうしても場当たり的な修繕工事を繰り返してしまい、長期的に見ると多くの無駄を生んでいます。

 

その点からも、誰にとっても理解しやすい修繕計画を立て、それを次の世代の理事へと伝えていくことが、理事会と理事にとって重要なことといえるのです。 

株式会社翔設計グループ 代表取締役
一級建築士 

1953年生まれ。東京電機大学建築学科を卒業後、大手設計事務所を経て1985年に独立。現在の会社の前身となる事務所を設立。2年後に株式会社とし、同社の代表取締役を務める。建築総合コンサルティング業を営む同社の改修コンサルタント事業部では、マンション修繕コンサルティングを管理組合に対して行っており、関東を中心に、これまで携わった修繕コンサルティング件数は650件以上。その知見を活かし、2016年9月設立の一般社団法人防災事業経済協議会にて主幹理事、2017年11月設立の一般社団法人マンション改修設計コンサルタント協会にて理事長を務める。

著者紹介

連載理事として押さえておきたい「大規模修繕工事」の基礎知識

本連載は、2017年12月18日刊行の書籍『改訂版 マンション管理組合理事になったら読む本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

改訂版 マンション管理組合理事になったら読む本

改訂版 マンション管理組合理事になったら読む本

貴船 美彦

幻冬舎メディアコンサルティング

大規模修繕工事のタイミングは? コンサルタントはどうやって選ぶ? マンション理事を楽しむための秘訣が盛りだくさん! 自分たちが住む場所だからこそ、自分たちでよくしていきたい――。マンション理事と聞いて、堅苦しい…

 

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