今回は、国や公益法人等へ「不動産・有価証券」を贈与するメリットを説明します。※本連載では、松木飯塚税理士法人の代表社員で、税理士、中小企業診断士の飯塚美幸氏の著書、『〔平成30年度税制改正対応版〕目的別 生前贈与のポイントと活用事例』(新日本法規出版)の中から一部を抜粋し、平成30年度税制改正に対応した、社会貢献のための「贈与」の活用事例を紹介します。

先代名義の私道や沼地を「大量に所有していた」事例

<Case2> 国や公益法人等への不動産・有価証券の贈与

 

●活用事例

 

深山氏は、相続に当たり不動産の名寄帳を取り寄せてびっくりしました。先代名義の私道や沼地がおびただしくあったからです。

 

公衆用道路とされている私道は固定資産税が非課税となるため、毎年市町村から送られる固定資産税課税明細書には記載されず、各自治体の土地の固定資産税額合計30万円以下は非課税とされ、その場合は納税通知も送付されないため、その存在自体が分からなくなっていたようです。

 

とりあえず過去の相続人の印鑑を集めて名義は正すにせよ、このような土地を将来も抱え続けても意味がないと、各自治体に寄附したいと考えました。

 

しかし、土地の寄附は、その後の維持管理費の自治体負担が生じることから、どのような土地でも受け入れられるとは限らず、受入自治体の議会の承認を受けてようやく寄附が進みます。しかし、それが実現すれば、自由な利用ができない資産を整理できるだけでなく、土地の取得費相当額は寄附金控除の対象となります。深山氏は、時間を掛けながら、寄附を進めることとしました。

どのような土地でも贈与できるわけではない

●活用の効果

 

国等や公益法人等に不動産や有価証券を贈与したいと考える人は多いでしょう。社会貢献に役立てたいという想いの場合もあるでしょうし、自分では十分に活用できない場合など、国等に贈与することで解決を図ることができる場合もあるからです。

 

土地の寄附は上地といい、その後の維持管理費がかかることから、どのような土地でも受け入れられるとは限らず、受入自治体の議会の承認を受けてようやく寄附が進みます。しかしそれが実現すれば、固定資産税等の負担が重荷となっていた資産を整理できるだけでなく、土地の取得費相当額は、寄附金控除の対象となります。

 

また、上場株式等を国等や公益法人等に寄附する場合も同様に、値上がり益は非課税とされ、取得費部分は寄附金控除の対象です。ただし、自社株を贈与すると、自社の支配株主関係が生じるため、一般的には贈与対象とするには慎重に対応すべきでしょう。

 

この話は次回に続きます。

[平成30年度税制改正対応版]目的別 生前贈与のポイントと活用事例

[平成30年度税制改正対応版]目的別 生前贈与のポイントと活用事例

飯塚 美幸

新日本法規出版

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