犯人は、事前に刑事の質問を想定して備えている
◆想定外の質問をする
例えば、殺人罪で犯人を取調べします。当然ですが、犯人は刑事からの質問を事前に想定して備えています。また、言っていいこと、ダメなことも整理しています。
想定される質問は、
●○月○日、あなたはどこで何をしていましたか?(犯行日時)
●○○県○○市に行ったことはありますか?(犯行場所)
●被害者と最後に会ったのはいつですか?
●被害者と最後に連絡をとったのはいつですか?
●被害者とどんなおつき合いをしていましたか?
●被害者とトラブルになったことはないですか?
などでしょう。これは答えが用意されていますから、うまく答えられてしまいます。
ちなみに交渉術の観点から見ると、このケースの犯人と刑事、どっちが優位に立っていると思いますか? 答えは「犯人」です。
なぜかというと、知りたい情報は全て犯人が持っているからです。殺害に至った経緯、被害者との関係、殺害方法、殺害後の遺体の遺棄方法など、刑事が知らないことを犯人は全部知っています。どう考えても犯人が優位です。
「想定外の質問」で、相手の心理・態度の変化を観察
ただ、ウソの情報を引き出すことは、ムダではありません。ウソの情報は裏づけを取り、ウソを認定していけばいいのです。
刑事の立場からすると、現場で発見された人証、物証が唯一その状況をひっくり返せる材料になります。
この犯人の優位な立場を崩していくには、犯人が想定していない質問を織り交ぜていくのが有効です。想定外の質問をすると、犯人の心理的な変化や態度の変化を見ることができます。
想定外の質問の方が刺激になりますので、ウソのサインも出やすくなるのです。