今回は、「想定外の質問」でウソのサインを引き出す方法を見ていきます。※本連載は、元警部である森透匡氏の著書『元刑事が教えるウソと心理の見抜き方』(明日香出版社)から一部を抜粋し、ウソや人間心理を見抜くテクニックを紹介します。

犯人は、事前に刑事の質問を想定して備えている

◆想定外の質問をする

 

例えば、殺人罪で犯人を取調べします。当然ですが、犯人は刑事からの質問を事前に想定して備えています。また、言っていいこと、ダメなことも整理しています。

 

 

想定される質問は、

 

●○月○日、あなたはどこで何をしていましたか?(犯行日時)

●○○県○○市に行ったことはありますか?(犯行場所)

●被害者と最後に会ったのはいつですか?

●被害者と最後に連絡をとったのはいつですか?

●被害者とどんなおつき合いをしていましたか?

●被害者とトラブルになったことはないですか?

 

などでしょう。これは答えが用意されていますから、うまく答えられてしまいます。

 

ちなみに交渉術の観点から見ると、このケースの犯人と刑事、どっちが優位に立っていると思いますか? 答えは「犯人」です。

 

なぜかというと、知りたい情報は全て犯人が持っているからです。殺害に至った経緯、被害者との関係、殺害方法、殺害後の遺体の遺棄方法など、刑事が知らないことを犯人は全部知っています。どう考えても犯人が優位です。

「想定外の質問」で、相手の心理・態度の変化を観察

ただ、ウソの情報を引き出すことは、ムダではありません。ウソの情報は裏づけを取り、ウソを認定していけばいいのです。

 

刑事の立場からすると、現場で発見された人証、物証が唯一その状況をひっくり返せる材料になります。

 

 

この犯人の優位な立場を崩していくには、犯人が想定していない質問を織り交ぜていくのが有効です。想定外の質問をすると、犯人の心理的な変化や態度の変化を見ることができます。

 

想定外の質問の方が刺激になりますので、ウソのサインも出やすくなるのです。

元刑事が教える ウソと心理の見抜き方

元刑事が教える ウソと心理の見抜き方

森 透匡

明日香出版社

警察官として約28年、うち知能・経済班担当の刑事を約20年務めた著者が、その経験の中から生み出した「ウソや人間心理の見抜き方」を公開。 相手がウソをついたときのサインの見方や、ウソつきかどうかを見極める質問の仕方が…

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