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なぜ開業医の相続税は「多額」になりやすいのか?

前回は、相続対策を考えない「開業医」が追い込まれる危機的状況について説明しました。今回は、開業医の相続税が「多額」になりやすい理由を見ていきます。

「現預金」を多く持つほど、相続税は多額になる

まずは「開業医は相続税が多額になりやすい」という問題からです。

 

一般に開業医は収入が高額になりがちです。厚生労働省の調査によれば、内科で開業した場合の平均年収は、医療法人でも個人診療所でも約2500万円という結果が出ています(医療経済実態調査報告平成27年実施より)。会社員の平均年収が415万円(民間給与実態統計調査平成26年分)ですから、開業医はその6倍の収入を得ていることになります。

 

また、開業医は自分で引退時期を決めることができます。生涯現役を通す医師も少なくありません。すると、定年のある会社員よりも収入を得る期間が長くなり、必然的に個人資産は増えていきます。

 

[図表]医師の平均手取り年収金額

出典)厚生労働省「医療経済実態調査報告(平成21年6月実施)」
出典)厚生労働省「医療経済実態調査報告(平成21年6月実施)」

 

その一方で、開業医は金融投資や資産運用、節税などにはあまり興味を持たない人が多い印象です。つまり、収入がそのまま預金として蓄積されていくため、個人資産のなかでも特に現預金の占める割合が高くなりがちです。これが、相続税を多額にしてしまいます。

 

相続税を算出するときは、財産を「相続財産評価」という金銭的価値に置き換えて計算します。たとえば、土地なら路線価(相続税路線価は公示価格の8割程度)をもとに評価を出します。仮に公示価格が1億円の土地では、路線価はだいたい8000万円くらいの評価に下がります。すると、差額の2000万円分だけ相続税が圧縮されるのです。

 

それに比べて、現預金などのキャッシュには相続税の圧縮効果はありません。1億円なら1億円のままで計算されます。つまり、キャッシュを多く持っていれば持っているほど、相続税額が膨らんでいくということです。

対策をしなければ「資産の半分以上」が相続税で消失!?

とある開業医は、資産のほとんどをキャッシュで持っており、その額が10億円ありました。その状態のまま相続が起きると、相続税が最高税率の55%となるため、半分以上の5億5000万円が相続税で消えてしまう計算になります。

 

慌てて節税策を講じ、どうにか相続発生に間に合って納税は事なきを得たからよいものの、なんの対策もなく相続が発生していたら、一族の資産を激減させてしまうところでした。

 

1級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP(アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー) 相続診断士

1990年、みずほ銀行(旧第一勧業銀行)に入行し、融資業務・ファイナンシャルプランニング業務に従事。2004年、アリコジャパンへ生命保険コンサルタントとして入社。営業成績は常に全国10位以内を維持し、全国1位も経験した。

優れた生命保険コンサルタントの証しであるMDRT会員に認定され、2007年・2008年にはMDRTアリコ会執行部役員に就任。

2009年にフィナンシャル・デザイン株式会社を起業、独立した。当初は富裕層の相続や保険の見直しをメイン業務とし、現在は医療法人の事業承継・相続も扱う。ファイナンシャルプランナーとして資産の全体設計から問題点を抽出、的確な解決策を提案し、税理士や会計士との「橋渡し」をすることで、顧客の資産保全に尽力している。

著者紹介

連載開業医一家の相続破産を防ぐ「専門家」の活用術

本連載は、2016年5月27日刊行の書籍『相続破産を防ぐ医師一家の生前対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

相続破産を防ぐ 医師一家の生前対策

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井元 章二

幻冬舎メディアコンサルティング

【医師一家の相続は、破産・病院消滅の危険と隣り合わせ 今すぐ準備を始めないと手遅れになる! 】 換金できない出資持分にかかる莫大な相続税 個人所有と医療法人所有が入り乱れる複雑な資産構成 医師の子と非医師の子への遺…

 

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