「給与1220万円超」の納税者は、控除が制限される
▼配偶者控除が変動制になったことの影響
今回の配偶者控除の改正で、以前と大きく変わった点に「配偶者控除額の変動制」があります。
具体的には、前述のとおり、納税者本人の合計所得金額が増減すると、それに応じて配偶者控除額が変動する制度となったのです。
以前は、納税者本人の所得が仮に一億円を超えていたとしても、配偶者控除額の38万円は固定でした。それが今後は、配偶者控除に制限が加えられることになってしまいました。もし配偶者控除を受けたければ、所得を一定範囲内に納めるように、という具合に結果的に課税強化されてしまったのです。所得を一定範囲内に納めるということは、給与収入であれば1220万円以下に納めるということです。
配偶者控除に制限が加えられるのは、給与収入が1120万円を超える納税者です。給与収入がこの範囲に該当する納税者像というと、一般的には企業経営者、サラリーマンであれば少なくとも45歳以上の幹部クラスの方々が該当するものと思われます。
企業経営者であれば自分自身で給与(役員報酬)を決定できるので、所得の調整は比較的簡単でしょう。一方サラリーマンの場合はなかなか難しいかもしれません。
所得区分の変わり目で変動する「配偶者控除額」に注意
さて、納税者本人の合計所得金額・給与収入と配偶者控除額との関係は、以下の表の通りとなります。
この表の中で気になるのは、所得区分の変わり目で、配偶者控除額がいきなり変動する点です。
たとえば給与収入が1120万円であれば配偶者控除額は最大で48万円ですが、もし給与収入が1円だけ増えて1120万1円になると、配偶者控除額は32万円と16万円も減少してしまいます。
そのため、給与収入がこの境界ライン付近になる年は、特に注意が必要になるのです。