道路付けが悪い場所は、やはり避けたほうが無難
前回に引き続き、動物病院を繁盛させるための「開業場所」について見ていきます。
【2】駐車場がない場所はなるべく避ける
動物病院はそもそも建てられるところが法律で制限されています。つまり、開業の候補地となる場所は、はじめからある程度限られてしまっているわけであり、その中からさらに集客に適した場所を見つけ出すことが求められることになります。動物病院の集客が期待できる場所としては、一般論として以下のような立地が挙げられます。
①自宅もしくは実家の近く
個人的な地縁がある場所は、院長自身や家族の古くからの友人、知人らの通院や口コミによる紹介などを期待することができます。
②元の勤務先病院の近く
勤務先で診療を担当していたペットの飼い主が、開業後に移ってきてくれる可能性があります。
③道路付けがよい
飼い主が、病院にペットを運ぶ場合、自動車を使うことが少なくありません。そのため、道路からのアプローチがよい場所を選ぶことが大切となります。
④大勢の人が集まる施設が存在する
ショッピングモールやスーパーマーケットなどのように、大勢の人が集まる施設が近くにあれば、病院を目にとめる人も多くなります。その中から、「あんなところに動物病院があるんだ。今度試しに行ってみようかな」と通院を検討する飼い主が現れるかもしれません。
③に関しては、「道路付けが悪く駐車しにくい場所」にある動物病院は、逆に避けられてしまうおそれがあります。とりわけ、女性の飼い主には「車の駐車が苦手」という人が少なくないので要注意です。
実際、繁盛していない動物病院をみていると、そもそも駐車場がないか、もしくは駐車場に難がある場合(駐車スペースが車1台分しかないなど)が少なくありません。
駐車場のスペースがない場合でも、「近くにコインパーキングがあるから大丈夫」と思って開業する人もいますが、いつそれがなくなるかわかりません。突然、パーキングがつぶされて、マンションが建てられるようなことも十分にありえます。そうなれば、「あの動物病院は駐車できなくなって不便になったから・・・」と、あっという間に患者さんが消えていなくなってしまう危険性があるといえるのです。
事前のマーケットリサーチ(診療圏調査)も忘れずに
【3】周辺地域をリサーチ
たとえ一般論として集客が期待できるような場所であっても、ペットを飼っている人の数が少ないようなところでは、開業しても意味がありません。また、人気のある動物病院がすでに存在するような場所では、「あえて火中の栗を拾わない」(その場所では開業しない)という選択を検討することも大切です。
そこで、開業場所を決める際には、事前にマーケットリサーチ(診療圏調査)を行うことも必要となります。リサーチのポイントとしては、以下の四つになります。
①開業予定地の全般的な概要
具体的には、地域住民の人口、年齢階層別人口、地域産業、職業別人口、今後の開発計画・交通計画などについてチェックします。
②ペット関連ショップの数
ペット関連ショップが多ければ、ペットを飼っている人がエリア内に相当数いると推測できます。
③競合医院に関する情報
候補地の周囲にどの程度の数の動物病院があるのか、また患者数はどの程度か、スタッフ数、院長の年齢、後継者候補の有無などもリサーチしましょう。
④地理的な要素
大きな幹線道路や川、線路がある場合、距離的には近くても、それらをわざわざ乗り越えたり、回避したりしてまで、飼い主が足を運んではくれない可能性があります。
マーケットリサーチは、開業前だけでなく開業後にも継続して、できれば定期的に行うことをおすすめします。たとえば、何らかの事情で地域の人口が急激に減少するような事態が起こることが予測されるような場合には、集客にマイナスの影響が生じる危険性があるので、病院の移転を考えるなど早急に対策をとることが必要となるかもしれません。