動物病院の数は増え続けて飽和状態となり、本格的な生存競争時代に突入しました。本連載では、厳しさを増していく獣医師業界で生き残っていく、そして収益をあげていくためのポイントを紹介していきます。

繁盛の鍵を握る要素は「集客」「設備」「収支」の3つ

「勝ち組」院長には、動物病院を繁盛させるために押さえている“経営の鉄則”がいくつもあります。具体的には、以下のように「集客」「設備」「収支」の三つが挙げられます。

 

●集客
「どのようにすればより多くの患者を集められるのか」
●設備
「飼い主の心をつかみ、何度も繰り返し来院してもらうためには病院の外観や内装、医療機器などについてどのような工夫をすればよいのか」
●収支
「税金を正しく納めながら、確実に利益をあげられるような経営基盤をつくるためには、税務、会計に関してどのような知識やポイントを把握しておく必要があるのか」

 

いずれも、ほとんどの獣医師の方には、専門外の全く不慣れな分野であると思われます。そこで、基本中の基本と思われる知識から丁寧にお伝えしていきましょう。まずは「集客」から解説をはじめます。

動物病院はどこにでも建てられるわけではない

●集客
【1】法律上、建てられる場所かどうかを確認する
動物病院を開業するうえで、場所選びは最も重要なポイントの一つであり、その適否は集客を大きく左右することになります。はじめに最も基本的な点から確認しておくと、動物病院はどこにでも建てられるというわけではありません。法律上、その立地場所は厳しく制限されています。

 

まず、都市計画法と建築基準法に基づき、以下のように動物病院を建築することができる用途地域とできない用途地域があります(用途地域とは、理想的な街づくりのために、地域を細かく分け、それぞれの用途に適した土地利用が行われるように規制したものです)。

 

【動物病院を建築することができる用途地域】
第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域
【動物病院を建築することができない用途地域】
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、工業専用地域

 

【各用途地域の意味】

したがって、建築することができない用途地域にあるテナントを借りたり、あるいは病院建設を目的として土地を購入したりしないように、くれぐれも用心する必要があります。

 

また、用途地域に関する制限がない場合でも、地方自治体の条例などにより、動物病院を建築できないケースがあります。さらに動物病院の入院室が「畜舎」に該当するとみなされ、動物病院を建築できたとしても入院室を設けることが許されないような地域もあるので、不測のトラブルにまきこまれないように、開院を考えている場所に関して地域独自の規制がないかどうか、地元の役所に問い合わせて確認することをおすすめします。

本連載は、2014年8月27日刊行の書籍『どうぶつ病院を繁盛させる50の方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

どうぶつ病院を繁盛させる50の方法

どうぶつ病院を繁盛させる50の方法

百瀬 弘之

幻冬舎メディアコンサルティング

勤務医の時代はたとえ給料は安くても、独立して動物病院を開業すれば十中八九成功が約束されていた獣医師。 ペットブームの恩恵を受けて市場を拡大し続けてきた獣医師業界ですが、近年の動物病院の増加により飽和状態に。さら…

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