写真:GTACスタッフ

2015年8月の総選挙を経て、新政権がスタートしたスリランカ。今回の選挙では、市民による政策提言が重要な役割を果たしました。今後さらに民意を政治に反映させるため、リコール制度の導入の是非が、いま注目を集めています。

「クリーンな候補者」を求める市民運動

2015年8月17日の総選挙を経てスリランカの新議会が発足した。初当選、再選の両者を含め、今回新たに選出された225名の国会議員は6年間の任期が期待される 。それより早く大統領が議会を解散させなければの話だが。

 

国会議員はいったいどれほどクリーンで、有能な政治家なのだろうか。一つ明らかなのは、国民、そして有権者としての我々の役割は、投票所に足を運ぶだけでは終わらないということだ。

 

今回の選挙は、市民によるアドボカシー活動(政策提言活動) によって、犯罪や汚職、その他反社会的活動に関与した経歴のない立候補者を選出するよう、全政党に働きかけるところから始められた。クリーンな選挙の実現に向けた選挙改革として、立候補者に8つ条件を定めた 「3月12日宣言」 に世論は注目し、その実現にむけて100万人の署名を集める 「3月12日運動」 が行われた。

 

しかし、いくら当初はクリーンで前途有望とされていた政治家であっても、当選後に道を外れてしまうこともある。そして、そのような政治家に対して、有権者は次の選挙を待つより他になす術が今のところはないのだ。

リコール制度は「政治への市民参加」を加速させるか?

しかし、多くの民主国家で実施されつつあるリコール制度の導入によって、この状況が変わる可能性がある。リコール制度では、当選後に政治家が職務を十分に遂行せず、あるいは権力の乱用が明らかとなった場合などに、任期満了を待たずして「クビ」にする権利が市民に与えられる。


「リコール」は政治責任を高めるうえに、「弾劾」で政治家らを罷免する方法に比べて、より一般参加型の制度と言える。また特定の議員に対し反対を唱える民衆が、デモへくり出す前段階の「はけ口」としての役割もある。

 

リコール制度は制度としては法的な枠組みにあるとしても、その手法は政治的なものであるといえる。この制度があれば、有権者が不満を持つ、特定の議員に対して自分たちの思いを表明することができるのだ。

 

次回は米国とイギリスにおけるリコール制度についてお伝えします。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年10月に掲載した記事「Can the ‘Right to Recall’ empower lankan Voters?」を、翻訳・編集したものです。

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