景気変動の影響を受けにくい小売株
株式関連のニュースを見ていると、景気動向指数の発表が頻繁に行なわれていることがわかると思います。
景気動向指数は景気循環の流れを予測するモノサシとして活用されていますが、小売株投資に関しては、景気変動の影響は他の業種と比べて小さいため、あまり注目しなくてもいいでしょう。小売株は生活必需品を扱っている会社が多いため、好景気、不景気に関係なく一定の需要が必ず発生するからです。
本書『「小売お宝株」だけで1億円儲ける法』第1章で、どんなに不景気になっても1日3食を2食に減らすことはないと書きましたが、衣食住に関するモノやサービスを提供する会社に景気変動は関係ありません。週末のスーパーはどこも人がいっぱいです。お米やトイレットペーパー、ごみ袋などは定期的に買われ続けますし、洋服がボロボロになってくれば新調する人が大半です。風邪をひいたり体調が悪かったりする人は、ドラッグストアで薬を買うでしょう。
もちろん、小売株の一部には宝飾品や高級家具など景気変動の影響を大きく受ける会社もありますから、そういう銘柄には投資しません。
ちなみに、ブランド品の価格変化はわかりやすい指数です。ぜいたく品は景気がいいときと悪いときの売れ行きが大きく変わるため、売れるときにどんどん売っていくような販売戦略をとっています。ルイヴィトンやロレックスなどのブランド品は不景気では価格を安くし、好景気になると価格を何度も上昇させていきます。私のところには、ある自動車メーカーからダイレクトメールが定期的に届くのですが、「2016年6月からメーカー希望小売価格を2%程度値上げします」という告知が入っていました。同社は2015年4月にも、原材料などの高騰により平均2%値上げすると発表したばかりです。
もちろん、値上げの理由に原材料や製造経費の高騰、商品のリニューアルなどが挙げられますが、不景気時は何度も価格を上げるようなことはしません。純粋にひとつの商品の価格推移だけを見ていくと、今が好景気なのか、それとも不景気なのかがわかります。好景気の頂点では、実需とはかけ離れた価格にまで達していく商品も出てきます。
小売株の場合、円高は「プラス材料」になりやすい
日本を代表するような国際優良株の場合、世界中に商品を輸出しているため、円高になると収益の悪化要因となってしまいます。たとえば1台3万ドルで販売している自動車があるとします。1ドル120円の場合、1台売ると360万円だったものが、円高が進んで1ドル100円になった場合、売上が300万円になってしまうのです。
その一方、小売株は円高がプラス材料になります。ハンバーグやステーキを展開する飲食店の場合、国産牛ではなく、アメリカやオーストラリアなど海外の肉を輸入して使用するお店が大半です。衣類に関しては、ほとんどが海外で製造された製品です。小売株への投資は、商品や食品などの原材料を海外から輸入する場合も多く、円高になれば収益にプラスとなってくるのです。