今期・来期の業績やチャートの確認も大切だが・・・
買った株を中長期で保有して大きく値上がりを待つ場合は、今後数年の全体相場の強さと、何の銘柄に投資するかという銘柄選びの二つが重要になります。全体的な相場観については、2020年の東京オリンピック開催までは強気で推移する可能性が極めて強いでしょう。となると、後は銘柄選びです。
もちろん、今期や来期の業績が好調に推移するのか、株価の位置が高すぎないかといった業績面やチャートの確認は非常に大切です。しかし、長期で持って大きな値上がりを期待するのであれば、その企業が手がける事業――何を作っているのか、どんなサービスを提供しているのか、さらには、将来についてどんなビジョンを持っているのかを知ることも業績面の確認と同じか、それ以上に大切になります。
この1〜2年がそれなりに好業績であっても、簡単に参入できるような事業であれば、ライバルが現れて簡単に今の座を奪われてしまうかもしれません。特に、グローバル化が進んだ現在は、海外の企業が参入してくることも考えられます。
また、商品やサービスの流行で、一時的に売り上げが急増しているような企業の株を買っても、中長期で資金を大きく増やすことは到底できないでしょう。
流行で終わるものではなく、これからも確実に生き残っていくものかどうか。そして、他社が真似できないような新しい技術やサービスの開発があるかどうか。長期にわたって投資する場合には、こうした見極めが必要です。
時代が変わっても生き続ける銘柄を探す方法とは?
他が追随できない商品の例としては、少し古い話になりますが任天堂が挙げられます。かつて、トランプや花札を作っていた任天堂は、ファミリーコンピュータ(ファミコン)を発売して株価が大化けしました。その当時は、ソフトを入れ替えることで無限にゲームができるゲーム機は世界的にほとんど存在していなかったためです。
最近の例では、富士重工業も独自の技術が大きく評価され、株価が3年弱で500円→4000円と8倍になりました。株価上昇の理由は業績好調もありますが、大きいのは「衝突しない車」(自動ブレーキ機能)の技術開発で、この機能が搭載された乗用車は大ヒットしました。
ほかにも、炭素繊維を扱う東レやiPS細胞の研究を手がける企業、また、一見新しさはありませんが、セイコーの高級時計作りを支える高度な技術、ヤマトホールディングスが提供する宅急便サービスの高い運営ノウハウなども、「他が追随できないもの」として今後再評価される可能性があります。
企業が現在展開している事業やこれから手がけようと表明している事業について、同業他社としてはどんな企業があるのか、他社には真似ができないような技術や商品、サービスなのか、10年後も必要とされ続けているのかなど、『会社四季報』や公式サイト、各種ニュースなどから自分なりに探してみてください。その中に、時代が変わっても生き続け、大きく成長する銘柄が見つかるはずです。
最後に、私が考える「簡単には追随できない成長株」の選択基準です。
●開発されたものが、多くの人に評価され、使われると予想される
●開発されたものが、一定期間は全体収益に影響を与えると予想される
●扱っている製品、サービスが他社には簡単に真似できない
●扱っている製品、サービスが将来にわたって長期間安定して必要とされる
●事業内容が時代の変化に対応していて、うまく流れに乗っていける