前回は、株式投資で「買い」のタイミングを間違えないコツを解説しました。今回は、株価が大きく下落しているときが「絶好の買い場」となる理由を見ていきます。

相場参加者が先行きを悲観しているとき、買い場を探す

買いに関わる相場格言で最も多いのは、「みんなが売っているときにこそ買いなさい」というものです。みんなが売っているときとは、簡単にいえば株価が大きく下落しているときです。

 

その代表的な格言が、「弱人気の逆で買う」です。これは、すべての相場参加者が株価の先行きに対して悲観的なときに買い場を探すという意味です。

 

では、どのようなときが「弱人気」なのでしょうか。具体的には、2016年6月の英国の国民投票でEU離脱が決定したときや、筆者著書『「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ常勝無敗の株投資術』の第1章でも説明した16年11月の米国大統領選挙でトランプ氏が選ばれたときなどが挙げられます。相場全体が「もうダメだ」と悲観的になったときが買い場ということなのです。

 

なぜかといえば、万人が弱気になっているときには、本来なら買われるような好材料のある銘柄や業績のよい銘柄まで買われずに放置されたり、他の銘柄と一緒になって売られたりするからです。そうしたタイミングで仕込めば、安く買うことができ、大きな利益を得ることが可能になります。

 

また、少し長いものでは「火中へ飛び込む思い切り、海中へ飛び込む心持ち」という格言もあります。これは、そのくだりの全文を現代語に訳すと「みんなが強気で自分も買いたいときには火の中に飛び込む気持ちで売り、みんなが弱気で自分もこの相場は弱いと思うときこそ海に飛び込むつもりで買うべきだ」という内容です。この格言のポイントは、「自分も同じように思っているとき」というところでしょう。みんなが売っているときには、自分もやはり弱気に思うものです(もちろん、逆も同様です)。しかし、そういうときこそが本当の買い場であり、思い切って行動すべきだということです。

「大逆鞘は買い」・・・17年4月のソニーの例

さらには、「万人が弱気なら、あほうになって米を買うべし」といった格言もあります。

 

いずれにしろ、相場全体が右を見ても左を見ても弱気になっているときは、とりあえずそこで買ってみてもよいのではないかということです。

 

みんなが売っているときという意味では同様ですが、少し方向性の異なる相場格言も挙げておきましょう。「大逆鞘は買い」です。逆鞘(ぎゃくざや)とはもともと先物取引の用語で、期日が遠いもののほうが安くなることを指します。先に行けば安くなるのであれば、今売っておいたほうがよさそうだと考える人が増えて今の価格が下落します。

 

しかし、みんなが「先は安くなる」と思っているときには往々にしてそうはならないため(理外の理と言えるかもしれません)、先安感から下がっている今のうちに買っておくのがよいということです。

 

ここでは、「大逆鞘は買い」の例として17年4月のソニーを取り上げます。

 

[図表]ソニー(6758)

本連載は、2018年2月2日刊行の書籍『「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ常勝無敗の株投資術』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ 常勝無敗の株投資術

「江戸のウォーレン・バフェット」に学ぶ 常勝無敗の株投資術

清水 洋介

幻冬舎メディアコンサルティング

「どうもうまくいかない」「なかなか儲からない」これこそ株式投資で誰もが必ず直面する問題……。 そんな悩みを解決すべく、時代を超えても通用する、先人たちの投資成功術をまとめた一冊。 どんな時代にも通用する「株式投…

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