今回は、貸し倒れ回避のために、社長自身による「与信管理」が重要となる理由を見ていきます。※本連載では、有限会社竹橋経営コンサルティング取締役社長、古尾谷 未央氏の著書『借りない資金繰り』(同友館)の中から一部を抜粋し、「借りない資金繰り」のポイントを分かりやすく解説します。

決算書だけでなく、資金ベースでの確認が必要

決算書において,企業の取引は発生主義で記載するのが一般的です。しかし,小売業などの現金商売を除き,掛け取引がほとんどのため,実際のお金のやり取りとはタイムラグが生じてしまいます。企業経営は最後にはお金に集約されます。お金になって初めて企業間取引は終了するのです。このため,決算書だけでなく資金についても押さえておく必要があります。つまり,帳簿上の仮の姿だけを見て分析していても不十分で,資金ベースで結果を確認するということは,社長にとっても絶対に必要なことなのです。

 

そして資金繰りを見ると,企業の実態や体質などが浮かび上がってきます。例えば回収と支払のサイトが負けている状況,毎月の収入と固定費が見合っていない状況,さらには借入返済で資金繰りがひっ迫している状況などが見えてきます。また,P/Lのみを重視して来た企業は,無謀な投資を続け経営危機に陥っている状況も分かります。B/Sと資金繰りをしっかりと見て経営していくことが,守りの経営には欠かせないのです。

目先の売上を追いかけるあまり、貸し倒れが発生!?

企業間の掛け取引においては「貸倒れの発生」が一番のネックとなります。すなわち,製品を販売したにも関わらず,代金を回収できないことは,企業にとって命取りです。このため,与信管理が企業の生命線とも言えるのですが,中小企業では甘いことが多く,ついつい目先の売上を追いかけるあまり,貸し倒れが発生してしまうのです。

 

もちろん,多少のリスクを取る必要はありますが,企業の存続にことが及んでは本末転倒です。長年の取引があるから大丈夫という安易な考えではだめで,ある意味ドライに見極めるという厳しいスタンスが求められます。

 

具体的には,手形取引であれば6か月後に現金化というケースもあります。その間,相手に販売を継続していたら,その間の売上が全て焦げ付くこととなり,金額は数千万円になってしまうこともあり得ます。そうなると連鎖倒産も十分に考えられ,この見極めが社長の一番重要な仕事と言えるのです。

 

与信管理ができないと,はっきり言って「社長失格」です。これは,社員に対する裏切り行為とも言えます。社員が一所懸命作った製品を,その企業へ販売するという最終の意思決定をしたのは社長自身だからです。

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