今回は、敷金・礼金なしのいわゆる「ゼロゼロ物件」でトラブルを避けるための注意点を解説します。※本連載では、徹底した現場主義で多くの賃貸トラブルを解決へと導いてきた太田垣章子氏の著書、『2000人の大家さんを救った司法書士が教える 賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド』(日本実業出版社)より一部を抜粋し、「空室」「滞納」など様々な賃貸トラブルの予防策と解決法についてわかりやすく解説します。

「入居したい」と思わせる物件にできれば・・・

空室が続くと、条件を下げてでも何とか入居者を見つけたいという気持ちが芽生えると思います。しかし、ゼロゼロ物件で、いい入居者を確保することは難しいのです。

 

初期費用をおさえて転居できる物件は、経済的に余裕がない人が借りる確率が高まり、入居後のトラブルも発生しやすくなります。せっかく入居者が決まっても、滞納がはじまれば、「家賃収入がない」「退去してもらうのに費用がかかる」という悪循環に陥ります。

 

条件を下げるのではなく、「入居したい」と思われる物件にすることが大切です。

 

また、ゼロゼロ物件を急いで借りようとしている賃借人はさらに要注意です。今の住まいを、滞納などで追い出されそうになっている可能性が高いからです。

「入居者に鍵を渡すのは最後の最後」にすべき理由

ゼロゼロ物件は、初期費用が安いため、すぐに入居希望の申し込みが増えますが、入居希望者に鍵を渡すときは慎重になりましょう。入居希望者に鍵を渡すのは、賃貸借契約が完了して、かつお金も入ってからです。その前に鍵を渡してしまうと、賃貸借契約完了前に必要書類の提出もずるずると引き延ばされることがあるからです。

 

どれだけ急かされたとしても、鍵を渡すのは最後の最後です。

 

どうしてもゼロゼロ物件にする場合は、必ず、入居審査を厳しい目で行ないましょう。「なぜ今回引越しをするのか」「どうしてこの物件なのか」「今住んでいる物件はどこで、価格帯はどうなのか」「広さはどれくらいなのか」など、しっかり確認します。

 

人は何らかの理由がなければ、引越しをしません。転居作業だけでなく、さまざまな手続きも必要になり、面倒だからです。入居希望者の「引越しの理由」に納得できるかどうか、ここを見極めることが重要です。

 

<POINT>

●ゼロゼロ物件に急いで入居を希望する人は、「滞納の常習者」と疑う

●入居直後から滞納がある入居者には、すぐに法的手続きをとる

●条件を下げるのではなく、「選んでもらえる物件」を目指す

2000人の大家さんを救った司法書士が教える 賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド

2000人の大家さんを救った司法書士が教える 賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド

太田垣 章子

日本実業出版社

アパート・マンション経営の多くのトラブルは「知識」さえあれば防ぐことができる! 15年間で2000件以上の問題を解決に導いた、現場を知り尽くした著者だからこそ書ける事例を紹介するとともに、賃貸トラブルの予防策・解決…

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