管理が不十分だと、さまざまなトラブルを引き起こす
(前回からの続きです)
今回のケースからもわかるように、管理の仕方次第でトラブルを防げることがあります。
裏を返すと、管理が不十分だと、さまざまなトラブルを引き起こしてしまうので、ここでは、押さえておきたい管理の勘所について解説します。
まずは、人目につく場所の管理を徹底します。
とくに、エントランス部分や集合ポスト、共用部分、ゴミ置き場は、入念に掃除をしましょう。これらの場所が汚いと、いい入居者に来てもらえないだけではなく、犯罪者にも狙われやすくなります。掃除を徹底することで、物件の清潔さと人通りの多さを周知できればベストです。
また、駐輪場に使われてなさそうな自転車がそのまま放置されていることがありますが、これも管理の悪さを目立たせてしまいます。
放置自転車は、すぐにでも撤去したいところですが、他人の所有物なので、勝手に処分すると窃盗などになってしまう可能性があります。
「花が植えてある場所」が犯罪者に敬遠される理由
この場合には、入居者の自転車であることがわかるシールの導入が効果的です。
シールの導入は、まず入居者に、
などを明記した文書を配り、アナウンスをします。これを2度ほど伝えた後なら、期日後に撤去しても大丈夫でしょう。
シールを貼ってもらう期限は、念のため、アナウンスから2か月ほどあると安全です。入居者向けの掲示板がある場合は、そこにも連絡事項として貼っておくとさらに効果的です。
いきなり処分するのではなく、入居者が使っている自転車かどうかをきちんと確認したうえで、それなりの期間も設け、「もう使われてない物だな」と判断に合理性をもたせて撤去することが大切です。
最後に、今回のケースで導入した、エントランスに花を植える防犯対策ですが、お手入れがもっと手軽な植栽だとどうでしょうか。
数々の物件を注意深く見てきた結果、植栽では花ほどの効果は得られないようです。植栽だと、よほどの日照り状態が続かない限り、花ほどの手入れを必要とせず、植えたっきりになってしまうことがほとんどだからです。
一方、花は毎日のように手入れをしないと、きれいな状態をキープできません。犯罪者は、花が植えてある場合、「この場所に誰かがいる時間が長いかもしれない」と考えるのでしょう。犯罪者は間取りよりも何よりも、人とできるだけ顔を合わせないことを最優先に考えるものだと覚えておきましょう。
<POINT>
●犯罪を防止するためにも管理に重点をおく
●エントランス、集合ポスト、ゴミ置き場、駐輪場はとくに丁寧に管理
●防犯を兼ねた管理は「人通りの多さ」をアピールできたらベスト