年間5000万円の利益を上げるスイングトレーダー
Gさん( 兵庫県在住の兼業トレーダー)
Gさんは、国内からアジア諸国へ工作機械を輸出する貿易会社を経営している40代の男性だ。海外とビジネスを行なう企業にとって、為替変動は頭を悩ます要因のひとつ。というのも、商取引はほぼ外貨で行なわれており、海外で得た利益は決算時期などに合わせて、外貨を売って円を買う取引(円転)をする必要がある。しかし、円転のタイミングで円高が進んでいれば、回収した代金は円建てで目減りすることになり、業績には悪影響を及ぼす。その為替リスクを軽減させるため、多くの企業では、円安だと思われる時期に「為替予約取引」を行なっている。Gさんは、その為替予約取引を通して相場観を磨き、FX取引でも利益を積み上げている。
本職の貿易業務の延長線で関心を持った「為替相場」
私は会社を経営しながら、FXのトレードをしている兼業投資家です。実は私の場合、会社の経営とFXはかなり密接な関係があります。というのも、経営しているのが貿易会社で、海外との貿易を行なう関係上、為替取引とは無縁ではないからです。
取扱いをしているのは工作機械で、おもに東南アジア諸国に輸出しています。
その際、輸出代金については、米ドルと円で入金されます。円で入金される分にはとくに問題もないのですが、米ドルで入金される分については、タイミングを見て円に替えなければなりません。日本で会社経営をしている以上、従業員に支払う給料は円ですし、国内仕入先への支払いも円になります。これらの支払いを米ドルで行なうわけにはいかないので、どこかで米ドルを売って、円を買う必要があるわけです。
こういう仕事を手がけている関係から、為替相場については昔から関心を持って見ていました。
海外との貿易取引によって生じる決済関係は、まず工作機械の輸出先(販売先)から米ドル建てのL/C(信用状)が送られてきます。このL/Cを日本の銀行に持ち込むと、銀行口座に米ドルが振り込まれます。そして、タイミングを見計らって、この米ドルを円に替えるのです。
ただ、ここで大きな問題が生じます。それは、米ドル建てのL/Cを受け取ってから、円に替えるまでのあいだに円高が進むと、為替差損が生じてしまうのです。
仮に、工作機械を輸出して10万ドルの米ドル建てL/Cを受け取ったとします。1台1100万円という価格を想定して10万ドルで売ったのに、そこから急激に円高が進んで1ドル=100円になったら、1台の円建て価格は1000万円になってしまい、100万円の為替差損が生じます。
この話は次回に続きます。