年間5000万円の利益を上げるスイングトレーダー
Gさん( 兵庫県在住の兼業トレーダー)
Gさんは、国内からアジア諸国へ工作機械を輸出する貿易会社を経営している40代の男性だ。海外とビジネスを行なう企業にとって、為替変動は頭を悩ます要因のひとつ。というのも、商取引はほぼ外貨で行なわれており、海外で得た利益は決算時期などに合わせて、外貨を売って円を買う取引(円転)をする必要がある。しかし、円転のタイミングで円高が進んでいれば、回収した代金は円建てで目減りすることになり、業績には悪影響を及ぼす。その為替リスクを軽減させるため、多くの企業では、円安だと思われる時期に「為替予約取引」を行なっている。Gさんは、その為替予約取引を通して相場観を磨き、FX取引でも利益を積み上げている。
大きなトレンドを狙ったときは、自分の信念を曲げない
それでは、大きなトレンドに沿ってポジションを持ったのに、アゲインストになって含み損が生じたときにどう対応するのか?
おそらく、FXをやっている大半のトレーダーにとっては、素早く損切りをして、次のチャンスに備えるというのが模範解答だと思います。とくに、レバレッジを高めてポジションを持っていると、場合によっては強制ロスカットされてしまうケースもありますから、自分で水準を決め、素早くロスカットするのは賢明な投資行動だと思います。
私も当然、損切りをすることはあります。ただし、それは日々の小さな値動きを取りにいって、自分の思惑とは逆に振らされた場合に限ります。私の場合、中長期で大きなトレンドを取りにいくスタイルがメインになるわけですが、そうしたポジションに含み損が生じた場合は、我慢します。
大きなトレンドを狙ったときは、自分の信念を決して曲げません。たとえば、中長期的に円高だと考えてドルを売っている最中に、意に反してドル高が進んだ場合、含み損が300万円、400万円と増えていってもあきらめません。
大きなトレンドを見るにあたって、自分の見通しは外れないという自信があることが一つの理由ですが、もう一つ、過去の為替レートの値動きをずっと追っていくと、米ドル/円もそうですが、「長期的に見ればレンジ相場が続いている」ということがあります。時折、1ドル=147円台とか、逆に75円台とか、極端な方向に突っ込むことはありますが、それこそ過去20年、30年の米ドル/円の値動きを見ると、1ドル=100円、120円近辺に収斂していく傾向が見られます。したがって、大きなトレンドに沿ったトレードをしていれば、いつか必ず含み益に変わるものだと信じているのです。
そして過去、実際にそのようになってきました。
見通しと逆に動いても、時間が経過すれば戻ってくる
2016年に日銀がマイナス金利政策を導入したとき、米ドル/円は一時的に大きく円安に振れました。それが発表される前、私が持っていたポジションには1300万円くらいの含み益が生じていたのですが、日銀のマイナス金利政策が発表された後、一気に円安が進む過程で含み益は目減りし、ついには完全になくなってしまいました。
このときはさすがに精神的にもしんどい状況に追い込まれました。あれだけ、自分自身では利食いはほどほどにということを徹底していたのに、自ら大失敗してしまったのですから。本当に後悔しきりでした。
しかしその一方で、自分の中長期的な相場観を信じていましたから、そのポジションは投げずに持っていました。結論を言えば、しばらくポジションを持ち続けた結果、含み益は元に戻ったのです。
よほどおかしなレートでエントリーしてしまったようなときには、なかなか戻ってこないこともあります。しかし、逆の言い方をすれば、よほどおかしなレートでエントリーしない限り、多少、見通しとは逆の方向に相場が動いたとしても、時間が経過すれば戻ってくるということです。