年間5000万円の利益を上げるスイングトレーダー
Gさん( 兵庫県在住の兼業トレーダー)Gさんは、国内からアジア諸国へ工作機械を輸出する貿易会社を経営している40代の男性だ。海外とビジネスを行なう企業にとって、為替変動は頭を悩ます要因のひとつ。というのも、商取引はほぼ外貨で行なわれており、海外で得た利益は決算時期などに合わせて、外貨を売って円を買う取引(円転)をする必要がある。しかし、円転のタイミングで円高が進んでいれば、回収した代金は円建てで目減りすることになり、業績には悪影響を及ぼす。その為替リスクを軽減させるため、多くの企業では、円安だと思われる時期に「為替予約取引」を行なっている。Gさんは、その為替予約取引を通して相場観を磨き、FX取引でも利益を積み上げている。
為替変動リスクを低減する「為替予約」というしくみ
前回の続きです。
輸出ビジネスを営む以上、為替相場が変動することによって生じるリスクは仕方がないことなのですが、そうしたリスクを小さくするため、私たち輸出業者は常に為替予約というしくみを用いています。
これは何かというと、近い将来、米ドルを円に替える際の為替レートを、事前に決めておく取引のことです。
たとえば、現在の為替レートが1ドル=110円だとします。将来、輸出代金を米ドルで受け取って円に替えるときの為替レートがドル安・円高になりそうだという場合は、米ドルの売り予約を、現時点で銀行と取り交わしておきます。3か月後に米ドルを円に替えたいというのであれば、たとえば3か月後に1ドル=109円50銭で米ドルを売り、円を買うという約束をするのです。
そうしておけば、仮に3か月後の為替レートが1ドル=100円になっていたとしても、あらかじめ「1ドル=109円50銭でドルを売り、円を買う」という為替予約が行なわれているため、1ドル=109円50銭で円に替えることができるのです。
このしくみを利用することによって、為替相場が変動することによって損失が生じるリスクをなくすことができますが、一方で差益が生じる可能性もなくしてしまいます。たとえば、3か月後にかけてもう一段、ドル高・円安になったとしたら、私の負けです。もし、1ドル=115円までドル高円安が進んでいたとしても、1ドル=109円50銭で米ドルを売り、円を買うという為替予約を交わしているため、私は予約した為替レートで円に替えざるを得なくなります。
為替予約取引に必要な、中長期的な視点での「予測能力」
したがって、為替予約取引をうまく行なうためには、1か月後、3か月後、あるいは6か月後の為替レートを考えて有利な為替予約取引を行なうために、中長期的な視点で今後の為替レートを予測する能力が必要になります。
ちなみに私は、この為替予約取引を自分自身で行なっています。
FXはあくまでもプライベートなものであり、自分のお小遣いを増やすための手段です。これに対して、為替予約取引は自分の会社の収益が棄損するリスクをヘッジするために行なっているものですが、両者とも為替の相場観を必要とします。仕事と趣味の両方の立場で為替レートを見ているようなものです。