今回は、ドライアイが「目」や「見え方」以外に及ぼす影響について取り上げます。※本連載は、医療コミュニケーションの研究とともに、患者さんへ病気の知識をわかりやすく伝える活動を続けている眼科専門医・平松類氏の著書『本当は怖いドライアイ』(時事通信出版局)の中から一部を抜粋し、ドライアイの基礎知識と対処法をご紹介します。

目の乾きが「目・脳の疲労感」にも影響!?

ドライアイがよくなると、目が重い感じ、疲れやかゆみまでよくなってきます。ドライアイは目の表面が乾くために見にくくなります。それでも人間の目はどうにか見えるように頑張ってくれます。

 

目では毛様体筋という筋肉がピントを合わせようと動いてくれます。脳ではちょっとぼやけて見えているものをくっきり見えているかのように調整してくれます。けれどもそうやって見ることには無理があります。続けていれば目や脳の疲労感につながります。目の奥が痛くなり、目が重い感じ、あるいは「何となく疲れるな」という自覚になってきます。

 

そのためドライアイが治ると、目が重い感じがしていたけれどもそれがよくなったと感じ、「目の疲れを感じなくなって本がたくさん読めるようになった」「映画がたくさん見れるようになった」というように変わっていくのです。

ドライアイの症状が治まるにつれ、アレルギーも快方へ

ドライアイがよくなると目のかゆみもよくなります。痛みが弱いとかゆみになります。例えば傷口がかさぶたになっているとかゆいのは、痛みが弱いから起きていることです。さらにはアレルギーの改善にもなります。アレルギーは花粉やほこりなどのアレルギー物質が目に入ることで起こります。けれども涙が正常に流れていてドライアイが改善するとほこりも花粉も涙がとってくれるのです。すっきりさわやかになります。

 

アレルギーとドライアイは互いにわるい影響を与え合います。ドライアイがあると目の表面に涙がないため、アレルギーの原因物質であるほこりや花粉を流してくれません。そうすると目の表面にアレルギー物質がたまって炎症が強くなってきます。一方でアレルギーが起こると目には炎症が起こります。目に炎症が起こると涙の質がわるくなり、ドライアイになっていくのです。

 

ドライアイがアレルギーを起こし、アレルギーがドライアイを引き起こす。互いに影響し合ってしまうため、アレルギーとドライアイを両方とも持っている場合はその対処をしないと悪循環でどんどんわるくなってしまうのです。

 

60代の女性は目のアレルギーで治療を受けていました。けれどもなかなかよくならないということでいらっしゃいました。確かにアレルギーはひどいですが同時にドライアイもあったのです。そのためアレルギー物質が目に入ってもそこにとどまって強く炎症を起こしていました。

 

そこでドライアイをよくするように日常生活に気をつけ、対処を行い、同時にアレルギーの治療も行いました。するとドライアイがみるみるよくなっていき、結果としてアレルギーもよくなっていったのです。こうやって疲れやかゆみがよくなるのですが、それによって肩こり・頭痛などもよくなります。

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