国が財政破綻しない限り、元本と利子の受け取りが可能
社内預金や財形貯蓄の制度が勤め先の企業にない人は、「銀行の普通預金、定期預金以外に『守るお金』を運用する方法はないのか」と思われるでしょう。
それ以外の元本保証の金融商品としては、「個人向け国債」があります。
国債とは、国が発行する債券のことで、発行時に償還期限と利率が決められており、償還時には購入した金額と利子が受け取れます。
国が元本と利子を保証しているため、日本国債であれば、日本国が財政破綻しない限り、元本と利子が受け取れます。
格付け機関の評価では、日本国債の信用リスクは低い
「日本の財政は危機的状況と言う専門家もいるけど大丈夫なの?」
そう思った人は、ちゃんとニュースに触れている人です。専門家によって、その人の立場によって言うことが違うのもその通りです。
そこで一つの指標となるのが債券の格付けです。これを理解していないなら、債券に投資しないほうがいいというくらい基礎的な知識です。
債券に限らず、金融商品や企業、国の信用状態を評価して、「AAA」「BB−」など記号で格付けを行っているのが格付け企業、格付け機関と呼ばれるムーディーズやS&P(スタンダード&プアーズ)です。
代表的なこの二社の格付け記号の意味は次の通りです。
[図表]
これらに、ムーディーズの場合は「Aa1」「Aa2」「Aa3」のように、Aa〜Caaまでが1〜3の、さらに三段階に分けられています。S&Pは「AA+(プラス)」「AA」「AA−(マイナス)」というように、AA〜CCCまでがプラス・なし・マイナスで三段階に分けられています。
では、日本国債の格付けはどれでしょうか。ムーディーズは「A1」、S&Pは「A+」です。上から5番目です。
日本国債の信用リスクは低いというのが両社の評価です。
バブルが崩壊する1991年まで、日本国債は「Aaa」「AAA」と、最高ランクのトリプルAでした。そのときと比べるとずいぶん下がりましたが、まだ「A」評価は得られていますので、信頼性があり、安全性も高いと言えるでしょう。
問題はこれからです。「Baa」「BBB」に落ちてしまうと、それより下がるといよいよその次は投資不適格という評価です。これまで評価が下がってきたことを考えると、このまま財政再建に取り組まなければ、日本国債はさらに格付けが下がる公算が大きいと考えられます。
当面は大丈夫ですが、日本国債を買ったら、この格付けに変動がないか、常に注意を払う必要があります。