今回は、「家族信託」の活用方法やそのメリットについて見ていきます。※本連載では、司法書士みそら総合事務所代表・酒井俊行氏の著書、『わかりやすい家族への信託』(すばる舎)から一部を抜粋し、認知症の財務管理対策と相続対策の両方に効果を発揮する「家族信託」の基礎知識をレクチャーします。
「成年後見制度」や「遺言書」よりも使い勝手が良い⁉
家族信託は次のような家族の願いを叶えることができます。これらは一例ですが、成年後見制度や遺言書による相続よりも、家族のニーズに合った使い勝手のいい方法ということがおわかりいただけるのではないでしょうか。(図表1参照)
[図表1]家族信託を活用する方法の例
家族信託利用のメリットと対応範囲
家族信託を利用するメリットとして、他の方法では実現することが難しい「成年後見」「財産管理委任契約」「遺言」の三つのよい部分を活用できます。(図表2参照)
[図表2]家族信託の対応範囲
①成年後見制度ではできないことができる
成年後見制度では難しかった柔軟な財産の活用(売却や運用)が可能になります。
②遺言ではできないことができる
次の次の承継先を指定するなど、遺言ではできないことも可能になります。
③元気な時、認知症の時、死後も、活用可能
一度、契約をすれば、元気な時、認知症になった時、死んでしまった後のすべての段階で活用可能な財産管理の方法です。
司法書士みそら総合事務所・代表
司法書士
司法書士・一般社団法人家族信託普及協会認定コーディネーター・家族信託専門士。公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート埼玉支部所属。慶應義塾大学文学部卒業。旅行代理店入社後、国内ツアーの企画や海外添乗を担当。入社5年目、一念発起して会社を退職。平成20年司法書士試験合格。司法書士法人役員を経て、「司法書士みそら総合事務所」を開設。家族信託・相続・遺言・後見に力を入れ、相談件数は年間100件を超える。現在は、法律知識とサービス業の経験を武器に人生の旅立ちを迎える人々のサポートに励んでいる。
司法書士みそら総合事務所
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