数年以内に年間100億ドル程度の融資を目指すAIIB
前回の続きである。
●輸出信用保険公司
輸出・海外投資を対象にした唯一の保険機構で100%政府出資。一帯一路に伴うリスクに鑑み、近年、関連計画に必ず盛り込まれている。関連引き受け保険額は13〜17年6月累計4800億ドル、大型インフラ投資案件が1200件強(うち17年上期156件628億ドル、7.4%増)、実際の保険金支払い17.3億ドル。
2017年は保険引き受け額全体が5246億ドル、前年比11%増と初めて5000億ドルを超える中で、一帯一路向けは1298億ドル、前年比15%増と全体を上回る伸びを記録。
●AIIB(アジアインフラ投資銀行)
AIIBの初年度融資実績は9件17億ドル。17年は25件25億ドル強を承認した。大半が基礎インフラ関連で世銀等との協調融資。人材や経験面でのネックがある一方、6月、AAA格付け取得で国際市場での債券発行による資金調達は容易に(17年10月、金総裁は18年初に初の発行を予定と発言)。数年以内に年間100億ドル程度の融資を目指すという幹部発言が伝えられている(16年6月25日付央視財経)。
<参考記事>中国主導の「AIIB」に最高格付けが付与された背景とは?
http://gentosha-go.com/articles/-/13625
[図表]AIIB融資プロジェクト(2017年承認案件)
シルクロード基金では、準備案件も含め100件が進行中
●シルクロード基金
14年12月、当初100億ドル資本金で設立。出資は外貨準備(65億ドル)、中国輸出入銀行、中国投資有限責任公司(各15億ドル)、開発銀行(5億ドル)。現在の基金規模400億ドル。形態はPE(プライベートエクイティ)に近いが、役員は全て出資母体の幹部で、現状、国際金融機構とは言い難い。投資形態は出資、債券投資、資産受託管理。17年12月までの投資金額17件70億ドル。現在約100件が進行中。
分野は基礎インフラ、資源、産業・金融協力。主要プロジェクトは中パ経済走廊のエネルギー、シベリア西北部ヤマル半島の天然ガス等。また基金が20億ドル出資して、カザフとの産業エネルギー協力基金を設立し、6件5.4億ドルの融資を承認。中国側説明では、投資期間は比較的長いが、効率、収益性を重視している点、援助・贈与とは異なる(百度百科)。