中国の一帯一路構想における「資金ルートと融資実績」②

2013年以来、習近平政権の看板政策として掲げられた「一帯一路」。中国内では構想実現に伴う膨大な資金需要やリスク、収益性が懸念されている。本連載では、「一帯一路」プロジェクトの現状と課題、当局対応の状況などを解説する。今回は、前回に引き続き、中国の「一帯一路」構想における、資金ルートと融資実績を見ていく。

数年以内に年間100億ドル程度の融資を目指すAIIB

前回の続きである。

 

●輸出信用保険公司

 

輸出・海外投資を対象にした唯一の保険機構で100%政府出資。一帯一路に伴うリスクに鑑み、近年、関連計画に必ず盛り込まれている。関連引き受け保険額は13〜17年6月累計4800億ドル、大型インフラ投資案件が1200件強(うち17年上期156件628億ドル、7.4%増)、実際の保険金支払い17.3億ドル。

 

2017年は保険引き受け額全体が5246億ドル、前年比11%増と初めて5000億ドルを超える中で、一帯一路向けは1298億ドル、前年比15%増と全体を上回る伸びを記録。

 

●AIIB(アジアインフラ投資銀行)
 

AIIBの初年度融資実績は9件17億ドル。17年は25件25億ドル強を承認した。大半が基礎インフラ関連で世銀等との協調融資。人材や経験面でのネックがある一方、6月、AAA格付け取得で国際市場での債券発行による資金調達は容易に(17年10月、金総裁は18年初に初の発行を予定と発言)。数年以内に年間100億ドル程度の融資を目指すという幹部発言が伝えられている(16年6月25日付央視財経)。

 

<参考記事>中国主導の「AIIB」に最高格付けが付与された背景とは?

http://gentosha-go.com/articles/-/13625

 

[図表]AIIB融資プロジェクト(2017年承認案件)

(出所)AIIBサイト
(出所)AIIBサイト

 

シルクロード基金では、準備案件も含め100件が進行中

●シルクロード基金

 

14年12月、当初100億ドル資本金で設立。出資は外貨準備(65億ドル)、中国輸出入銀行、中国投資有限責任公司(各15億ドル)、開発銀行(5億ドル)。現在の基金規模400億ドル。形態はPE(プライベートエクイティ)に近いが、役員は全て出資母体の幹部で、現状、国際金融機構とは言い難い。投資形態は出資、債券投資、資産受託管理。17年12月までの投資金額17件70億ドル。現在約100件が進行中。

 

分野は基礎インフラ、資源、産業・金融協力。主要プロジェクトは中パ経済走廊のエネルギー、シベリア西北部ヤマル半島の天然ガス等。また基金が20億ドル出資して、カザフとの産業エネルギー協力基金を設立し、6件5.4億ドルの融資を承認。中国側説明では、投資期間は比較的長いが、効率、収益性を重視している点、援助・贈与とは異なる(百度百科)。

Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス) 独立取締役

1976年、大蔵省入省。1990年、アジア開発銀行理事代理、2000年、香港理工大学中国商業センター客員研究員。2003年、アジア開発銀行研究所総務部長、2006年以降、財務省神戸税関長、財務省財務総合政策研究所次長、財務省大臣官房政策評価審議官、2010年から大和総研常務理事等の要職を歴任。 2015年、NWB(日本ウェルス)の独立取締役に就任。一橋大学卒。香港中文大学普通話課程修了。
WEBサイト https://jp.www.nipponwealth.com/

著者紹介

連載中国「一帯一路」プロジェクトの現状~膨大な資金需要とリスクへの対応

 

 

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