今回は、仮想通貨で「大きな利益」を得た場合にかかる税金を見ていきましょう。※本連載では、インターネット法務に精通した中野秀俊弁護士が「IT&仮想通貨に関する法律問題」を徹底解説します。

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国税庁が捕捉するべく躍起!?「仮想通貨取引の利益」

<国税庁から仮想通貨で得た利益の計算方法が発表>

 

昨年に、仮想通貨で得た利益の課税関係についての資料が発表されています。ビットコインを使用したことによって生じた利益については、所得税の対象であり、その所得は雑所得になるとの見解が示されました。

 

No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係

 

また2017年12月1日に、国税庁から仮想通貨の税金について、仮想通貨に関する所得の計算方法等についてという形で発表されました。仮想通貨で得た利益については、国税庁が捕捉するべく躍起になっています。

 

今回の国税庁の発表は、確定申告の対象となる仮想通貨の損益や、その具体的な計算方法等について取りまとめたものです。具体例なども織り交ぜながら記載されていますので、非常に参考になるものです。

 

今回は、仮想通貨取引で利益を得た場合、税金はどのように計算されるのかを見ていきます。

 

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<仮想通貨を売却したときの税金>

 

保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、その売却価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額です。つまり(売った時の値段)-(買った時の値段)=所得金額となります。

 

「買ったときの値段」については、買ったときの仮想通貨1単位の値段を計算し、それを売却した仮想通貨の割合で掛けることで計算します。

 

<仮想通貨を売却した時の税金の具体例>

 

国税庁の資料では、以下の具体例が載っていますので参照してください。

 

(例)

3月9日2,000,000円(支払手数料を含む。)で4ビットコインを購入した。

5月20日0.2ビットコイン(支払手数料を含む。)を110,000円で売却した。

110,000円-(2,000,000円÷4BTC)×0.2BTC=10,000円

 

よってこの場合、1万円が所得金額になり、ここに所定の税率がかけられ納める税金が決まります。

 

<仮想通貨で商品を購入した場合>

 

現在、仮想通貨で決済できる店舗も増えています。この場合も、仮想通貨を使用しているので、その利益については税金がかかります。

 

保有する仮想通貨を、商品購入の際の決済に使用した場合、その使用時点での商品価額と、仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。計算式は(購入した商品の価格)-(仮想通貨を買った時の価格)×支払に使った仮想通貨=所得金額です。

 

<仮想通貨で商品を購入した場合の具体例>

 

国税庁の資料では、以下の具体例が載っていますので参照してください。

 

(例)

3月9日2,000,000円(支払手数料を含む。)で4ビットコインを購入した。

9月28日155,000円の商品購入に0.3ビットコイン(支払手数料を含む。)を支払った。

155,000円-(2,000,000円÷4BTC)×0.3BTC=5,000円

 

よってこの場合、5,000円が所得金額になり、ここに所定の税率がかけられ納める税金が決まります。

保有仮想通貨で、他の仮想通貨を購入しても課税対象に

<仮想通貨と仮想通貨を交換した場合>

 

今回、仮想通貨と仮想通貨の交換、例えば保有しているBTCを使い、ETHを購入した場合も課税対象であることが明確化されました。

 

保有する仮想通貨を、他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、その使用時点での他の仮想通貨の時価(購入価額)と、保有する仮想通貨の取得価額との差額が、所得金額とされました。

 

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(ETH購入金額)-(BTC購入金額)×支払に使ったBTC=所得金額となります。

 

<仮想通貨と仮想通貨を交換した場合の具体例>

 

(例)

3月9日2,000,000円(支払手数料を含む。)で4ビットコインを購入した。

11月2日他の仮想通貨購入(決済時点における他の仮想通貨の時価600,000円)の決済に1ビットコイン(支払手数料を含む。)を使用した。

600,000円-(2,000,000円÷4BTC)×1BTC=100,000円

 

よってこの場合、10万円が所得金額になり、ここに所定の税率がかけられ納める税金が決まります。

 

<同じ仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合>

 

仮想通貨投資を行っていると、同じ仮想通貨を時期を変えて複数回購入することはよくあります。その仮想通貨を売却した場合に、そもそも取得金額がいくらになるのかが問題になります。

 

この場合には、移動平均法という方法を用いることが明確化されました(ただし、継続して適用する場合には、総平均法用いてもOKとされています)。

 

移動平均法(総平均法)は、株式投資などをしている方にとってはお馴染みの概念ですが、初心者の方には分かりづらいかもしれません。上記の国税庁の資料には、具体例も載っているので理解するようにしましょう。

 

<仮想通貨が分裂した場合>

 

ビットコインのハードフォークなど、仮想通貨が分裂し、分裂後の仮想通貨を取得する場合があります。この場合、分裂後の仮想通貨を取得した段階では課税対象にはならず、分裂後の新たな仮想通貨を売却、使用した時点で課税対象になることが明らかにされました。

 

なお、分裂後の新たな仮想通貨を売却、使用した場合の「取得価格」は、0円として計算するとのこと。つまり、分裂後の新たな仮想通貨を売却、使用した金額がそのまま課税対象の所得金額になります。

 

<仮想通貨の利益が雑所得以外になる場合>

 

前述の通り、仮想通貨を売却・使用して利益を得た場合には、原則として雑所得と分類されます。しかし、会社などの事業としてビットコインを使用した場合などは、事業所得になるとのことです。

 

また個人の方でも、仮想通貨取引で生計を立てていると客観的に認められる場合には、事業所得になります。仮想通貨の売却・使用が事業として行われた場合にも、事業所得になります。

 

なお、仮想通貨取引によって損失が生じた場合、その損失分を他の所得のプラス分と相殺することはできません。ただし上記のように、仮想通貨の売却・使用が事業として行われた場合の損失分は、他の所得から相殺することができます。

 

<仮想通貨のマイニングで、仮想通貨を取得した場合の税金>

 

仮想通貨のマイニングで、仮想通貨を取得した場合にも課税の対象になります。この場合の課税対象の計算は「収入金額」(マイニングにより取得した仮想通貨の時価)-マイニングに要した費用となります。

 

そして、そのマイニングにより取得した仮想通貨を売却・使用して、利益を得た場合も課税対象になります。この場合も(売った時の価格)-(取得したときの価格)となりますが、この「取得したときの価格」は、マイニングにより取得した仮想通貨の時価になります。

 

<仮想通貨に関する税金はきちんと処理を>

 

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少し前まで、仮想通貨に関しての税金はその扱いが不明確であったため「税金の管理はテキトーでもいいか」という考えも通用したかもしれません。

 

しかし、国税庁からの扱いも明確になった今では、税金についてテキトーに考えていると、税務署から連絡が来るかもしれません。仮想通貨取引での利益は、きちんと処理をするようにしましょう。

 

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