「VALU」は改正資金決済法の「仮想通貨」に当たるのか?

仮想通貨が新しい投資先として注目を浴びる昨今。しかし、仮想通貨を含めてITに関する法制度は十分に整っておらず、不透明な部分が多い現状にあります。そこで本連載では、インターネット法務に精通した中野秀俊弁護士が「IT&仮想通貨に関する法律問題」を徹底解説します。

「VALU」は1号仮想通貨には当たらない!?

「VALU」というサービスをご存知でしょうか。

 

「VALU」とは、仮想通貨を使ったウェブサービスの一つです。「VALU」という株式のようなものを個人単位で発行し、取引することができるサービスです。そしてユーザーは、この「VALU」をビットコインで購入します。「VALU」は、“YouTuberヒカル騒動”などもあり、今特に注目を集めているサービスと言えるでしょう。

 

まず、「VALU」が改正資金決済法の「仮想通貨」に当たるのかを考えていきましょう。「仮想通貨」に該当すると、仮想通貨の売買交換をするためには、仮想通貨交換業のライセンスが必要になります。

 

「VALU」運営事業者は、この仮想通貨交換業の登録がされていないので、「VALU」のスキームが法律に違反しているのではないかが問題になります。

 

法律上の仮想通貨の定義は、以下の2パターンの場合があります。どちらかの要件を満たせば、法律上の仮想通貨になります。

 

 

まず1号仮想通貨と呼ばれるものの定義は、以下の通りです。

 

1. 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、

2. 不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、

3. 電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

 

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次に、2号仮想通貨と呼ばれるものの定義は以下の通りです。

 

1. 不特定の者を相手方としてビットコインなどの仮想通貨と相互に交換を行うことができる財産的価値であって

2. 電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

 

法律上の「仮想通貨」該当性のポイントは、

 

●「不特定の者に対して」使用できる

●「不特定の者を相手方として」購入及び売却を行うことができる

●「不特定の者を相手方として」ビットコインなどの仮想通貨と相互に交換を行うことができる

 

とあるように、「不特定の者」というのがポイントになります。この「不特定の者」というのは、金融庁ガイドラインでは以下のような要素を考慮するとされています。

 

●発行者と店舗等との間の契約等により、代価の弁済のために仮想通貨を使用可能な店舗等が限定されていないか

 

●「発行者が使用可能な店舗等を管理していないか」等について、申請者から詳細な説明を求めることとする

 

●発行者による制限なく、本邦通貨又は外国通貨との交換を行うことができるか

 

つまり、特定の発行者がいて、その発行者が認めた範囲内で使用できる場合には「仮想通貨」には該当しないのです。

 

VALUの利用規約上、「当社は、VALUの発行及び売買を制限し又は取り消し、又は発行済みのVALUを無効とすることができるものとします」等とあります。これは運営者側が「VALU」に対して、各種の制限が加えられる仕組みになっています。

 

よって、

 

●「不特定の者に対して」使用できる

●「不特定の者を相手方として」購入及び売却を行うことができる

 

これらの要件は当たらない可能性が高く、1号仮想通貨には当たらないと言えるでしょう。

 

ただし、「不特定の者を相手方として、ビットコインなどの仮想通貨と相互に交換を行うことができる」については、「VALU」のサービスが、誰でも会員登録ができることから、2号仮想通貨の要件を満たす可能性があります。

 

一方でVALUについては、現在会員登録をした者が、当該サービス内のみで移転が可能な仕組みのようで「不特定多数の者」と交換できるものではないとされる可能性もあります。

 

この点については、「VALU」は仮想通貨に該当するかは不明確なところがあり、法律的にはグレーな部分が残っていると言えるでしょう。しかしこれについては、金融庁からの指導が入る可能性があります。

「法律的に大丈夫か?」を見極めることが大切

現在「VALU」運営会社は、金融庁へ問い合わせをして、法的な確認をしていると述べています。

 

しかし、当社でもFintech事業者から相談を受け、金融庁を初め様々な省庁に照会するのですが、官庁は「このサービスは大丈夫」という言い方は絶対にしません。法律上、ダメであればダメと言われますが、あいまいな部分がある場合にはOKと言わず、問題があれば指導に入りますよというスタンスなのです。

 

仮に「VALU」に金融庁からの指導が入ったとすると、最悪の場合には、このサービス自体がなくなってしまう可能性があります。しかも「VALU」は、参議院財政金融委員会でも質疑に取り上げられています。国会でも議論になるほどの材料なのです。

 

仮想通貨ビジネスは、まさに法律上も過渡期であり、法律違反しているサービスでも運営されているのが実情です(※「VALU」が法律に違反しているというわけでは、決してありません)。

 

法律に違反しているような仮想通貨ビジネスに投資をしてしまうと、投資家としては、仮想通貨にお金を投資したけど、サービスが中止になりお金が戻ってこないという場合があり得るということです。

 

 

仮想通貨ビジネスに投資する場合には、そのビジネスが法律的に大丈夫かを見極める必要があるのです。 

 

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グローウィル国際法律事務所 代表弁護士みらいチャレンジ株式会社 代表取締役
SAMURAI INNOVATIONPTE.Ltd(シンガポール法人) CEO東京弁護士会インターネット法部会 会員
明治大学 法学部 法制研究所 客員講師 

早稲田大学政治経済学部を卒業。大学時代、システム開発・ウェブサービス事業を起業するも、取引先との契約上のトラブルが原因で事業を閉じることに。そこから一念発起し、弁護士を目指し司法試験を受験。司法試験に合格し、自身のIT企業経営者としての経験を活かし、IT・インターネット企業の法律問題に特化した弁護士として活動。特に、Fintech分野については、専門的に対応できる日本有数の法律事務所となっている。

著者紹介

連載インターネット法務に精通した弁護士による「IT&仮想通貨に関する法律問題」の徹底解説

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