今回は、投資家の間で流行の兆しを見せている「トークン」について説明します。仮想通貨との違いや、法に関する疑問点を探りましょう。※本連載では、インターネット法務に精通した中野秀俊弁護士が「IT&仮想通貨に関する法律問題」を徹底解説します。

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仮想通貨に該当すると「ライセンス」が必要に

仮想通貨事業の中で「トークン」という言葉が出てきます。投資家の皆様の中でも「トークンを発行するから投資しないか」ということを言われた方がいるかもしれません。

 

「トークン」については、事業者によって、若干異なった使われ方をしていますが、ブロックチェーン上に、オリジナルのコインを発行することをいいます。そして「トークン」が交換される経済圏を「トークンエコノミー」などと言われます。

 

最近では、ICOの案件で投資家からビットコインなどの仮想通貨を提供してもらい、事業者からは「トークン」を対価として提供するということが行われています。そして、発行したトークンに価値を見出す人が存在すれば、そこで「トークン」の取引が行われます。

 

このトークンの事業での使われ方としては、以下のような場合があります。このようなトークンは、法律上どういう位置づけになるのでしょうか?

 

 

<「トークン」は、仮想通貨か?>

 

「トークン」がオリジナルのコインだとすると、このトークンは資金決済法上の「仮想通貨」なのかがポイントになります。なぜなら、法律上の「仮想通貨」に該当する場合、仮想通貨を販売するには、事業者は「仮想通貨交換業」というライセンスが必要になるためです。

 

ライセンスなしに仮想通貨を販売すると違法になり、その事業者には業務停止命令などが下る可能性があります。投資家としては、そのような違法業者から「トークン」を購入してしまうと、「トークン」自体が無価値になってしまう可能性があるので注意が必要です。

 

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では、「トークン」が法律上の「仮想通貨」に該当するかどうかですが、ポイントは以下の2つです。

 

●「代価の弁済(代金の支払)のために不特定の者に対して使用することができる」

●「不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる」

 

金融庁ガイドラインでは「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる」ことを判断するに当たっては、以下の事項を考慮するとされています。

 

●発行者と店舗等との間の契約等により、代価の弁済のために仮想通貨を使用可能な店舗等が限定されていないか

●「発行者が使用可能な店舗等を管理していないか」等について、申請者から詳細な説明を求めることとする

 

つまり、特定の発行者がいて、その発行者が認めた範囲内で使用できる場合には、「仮想通貨」には該当しないことになります。

 

また「不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる」ことを判断するに当たっては、以下の項目について申請者から詳細な説明を求めることとしています。

 

●発行者による制限なく、本邦通貨又は外国通貨と交換を行うことができるか

●本邦通貨又は外国通貨との交換市場が存在するか

 

こちらも特定の発行者がいて、特定の発行者が法定通貨との交換を制限している場合には「仮想通貨」には該当しないのです。

トークンの保有者が特定少数の者なら・・・

「トークン」が法律上の「仮想通貨」に該当するかは、トークンの性質によります。トークンの保有者が、事業者が発行した特定少数の者に限定されている場合には、法律上の「仮想通貨」には該当しません。

 

一方で、トークンが市場に公開されて(またはその予定が決まっていて)不特定多数人の間で取引が行われると、法律上の「仮想通貨」に該当する可能性があります。そうなると上記のように、事業者には「仮想通貨交換業」の登録が必要になります。

 

投資家としては、投資する「トークン」がどのような性質ものか、きちんと精査するようにしてください。

 

<トークンを購入する場合には、事前に法律チェックを忘れずに>

 

 

以上のように、「トークン」は誰でも簡単に発行できてしまうので、その性質も千差万別です。投資家としては、「トークン」が無価値とならないために、法律に違反する「トークン」を購入しないことが必要です。

 

トークンを発行する際には、法律的に問題ないかをしっかり把握するようにしましょう。

 

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