婚姻期間中であれば、平成19年4月以前の期間も対象に
平成19年3月末までは、離婚した場合、それまで夫を支えてきた妻は、自分が加入していた分の国民年金やわずかな厚生年金しか受け取ることができず、不安定な生活を余儀(よぎ)なくされていました。
夫が厚生年金加入者で、妻が専業主婦の場合、この妻を「3号被保険者」といいます。一方で、厚生年金に加入していた夫は、応分の年金を受け取ることができたわけです。
それが平成16年度の法改正により、婚姻期間中の厚生年金を夫婦間で分割できるようになりました。
年金の分割対象となるのは、公的年金のうち厚生年金と旧共済年金(平成27年10月に、旧共済年金は厚生年金に一元化されました)です。配偶者の仕事が自営業で国民年金だけに加入していた方は、年金分割の対象になりませんでした。
さらに、平成19年4月以降に離婚が成立した場合について、婚姻期間中に夫婦が加入していた厚生年金の保険料納付記録合計の半分を限度に、多いほうから少ないほうに分割することが可能になりました。婚姻期間中に支払った保険料は、夫婦が共同で納めていたものとみなしたのです。熟年離婚という言葉をブームにまで押し上げた、年金分割法の実施です。
ただし、夫婦間の合意か裁判所の決定が必要でした。
分割の対象となる期間は、婚姻期間中であれば平成19年4月以前の期間も分割の対象になります。
H20年3月までは、夫婦間の合意か裁判所の決定が必要
平成20年4月以降に離婚した場合、平成20年4月以降、第3号被保険者であった期間は、一方からの請求のみで厚生年金の保険料納付記録を折半することができるようになりました。
平成20年3月までの分は、夫婦間の合意か裁判所の決定が必要になりますが、第3号被保険者に対しては、平成20年4月以降の分は、自動的に分割されるということです。
ここで注意してほしいのは、この制度で対象になるのはあくまでも平成20年4月以後に加入していた期間にのみ有効なのです。この制度の効力が威力を発揮するのはこれから長く年金をかける人、つまり若い世代の人のための制度といっていいでしょう。
ADVICE
勝手な解釈や計算違いもあるので、自分がもらえるであろう年金額を年金事務所や相談センターで前もって聞いておく。
[図表1]年金の種類の分割の対象年金
[図表2]年金の種類
[図表3]年金分割とは?