今回は、なぜ「信用取引」という制度が必要なのか、具体的に見ていきましょう。※本連載は、楽天証券経済研究所のシニアマーケットアナリストである土信田雅之氏の著書、『ど素人でも稼げる信用取引の本』(翔泳社)の中から一部を抜粋し、「信用取引」の基本と仕組みについて具体的に説明します。

「実需」ではなく「仮需」を対象とする信用取引

いわゆる「モノ」の価格は需要と供給のバランスで決まります。買いたい人(需要)が多ければ価格は上がり、反対に売りたい人(供給)が多ければ価格は下がります。株式の価格(株価)についても基本的には同じ理屈です。

 

その一方で、株価というのは「その企業の価値を表している」ことも忘れてはいけません。そのため、株価は企業業績とある程度連動する性質があります。企業の業績が良ければ株価は上昇しやすく、逆の場合は下落しやすくなるわけです。

 

つまり、株価を判断するには「需要と供給」、そして「企業の価値や業績」の2つの側面から意識する必要があります。

 

そして、信用取引は先ほどの需要と供給の面で大いに関わってきます。株式取引における需要と供給には、「実需(じつじゅ)」と「仮需(かりじゅ)」と呼ばれる2つがあります。ざっくりとした分け方になりますが、現物取引が「実需」、信用取引が「仮需」に該当します。

 

実需とは言葉の通り、実体のある需給です。例えば、配当金や株主優待、長期の資産運用を目的とした売買などです。

 

一方の仮需は、株式の保有ではなく、株価の動きによって利益をねらう手段として売買する需給を指します。信用取引は、その仮需による取引を促す役割を担っているのですが、意地悪な言い方をすれば、わざわざ売買を煽るようなしくみでもあるわけです。

仮需による取引が増えることで、株価への信頼が増す

しかしながら、仮需のしくみがあることで、様々な投資家による株式の注文や売買が増えやすくなります。また、一部の少ない取引で成立した株価よりも、多くの投資家の思惑や価値観によって成立する株価のほうがより公正な株価であるといえます。

 

仮需による取引を増やして株価や市場に対する信頼感を高めると同時に、個人投資家には、レバレッジや売り建てといった収益の機会を提供しているという意味で、信用取引は欠かせない存在であるといえます。

 

[図表]信用取引が必要とされる理由

本書に記載されている情報は、2017年4月執筆時点のものです。本書に記載された商品やサービスの内容や価格、URL等は変更される場合があります。本書の出版にあたっては正確な記述につとめましたが、著者や出版社などのいずれも、本書の内容に対してなんらかの保障をするものではなく、内容やサンプルに基づくいかなる運用結果に関してもいっさいの責任を負いません。

ど素人でも稼げる信用取引の本

ど素人でも稼げる信用取引の本

土信田 雅之

翔泳社

【本書のポイント】 ●豊富な図解で信用取引の仕組みがしっかり分かる ●信用取引のリスクを抑えて勝率を上げるテクニックを伝授 ●デイトレーダーに役立つ売買手法を解説 ●現物取引しかしない投資家にも役立つ情報が満載…

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