今回は、本質的な利益構造が見えてくる「限界利益」の計算方法について説明します。※本連載では、楽天市場で人気の花屋「ゲキハナ」を運営する古屋悟司氏の著書、『「数字」が読めると本当に儲かるんですか?』(案内人・田中靖浩氏/日本実業出版社)の中から一部を抜粋し、実体験をもとに、会社の儲けるパワーを高めるための「管理会計」の活用法を解説していきます。

さまざまな予測を可能にする「限界利益」

慣れない会計の話で、頭からは湯気が出そうです。ただ、会社を黒字にしたいという気持ちだけが、僕と税理士さんをつないでいました。

 

税理士さんは「限界利益は魔法のメガネ」と言っていたけれど、いったいどんなところが「魔法」なのか見当もつきません。「魔法のメガネをかければ本質的な利益が見える」と言うけれど、そもそも「本質的」って何?

 

僕は両手で丸い輪っかを作って、目にあてながら税理士さんに質問しました。

 

「魔法のメガネをかけると何が見えるんですか?」

 

税理士「より本質的な利益の構造を見ることができます」

 

「そもそも『本質的』っていうのが、どんなことを意味しているのかさえわからないんですが・・・。たとえば、今いくら儲かってるかって見えますか?」

 

税理士「見えます」

 

「じゃあ、いくら売れば黒字になるかは?」

 

税理士「見えます」

 

「じゃあ、いくらまで値引きしても儲かるかは?」

 

税理士「見えます」

 

「じゃあ、いくら経費を削ればいいかは?」

 

税理士「それも見えます。『限界利益』がわかると、さまざまな予測もできます。限界利益のすごさがわかったところで、その計算方法を教えますね」

 

「ちょっとだけすごいかもしれないと思ったくらいなんですが・・・。でも、どうすればそれが使えるようになるのかは知りたいです」

限界利益の大きさ=会社の『儲けパワー』の大きさ⁉

税理士「この前、費用は2つに分けられるという話をしましたよね」

 

「あ、はい。固定費と変動費ですね。そこは覚えています」

 

税理士「たぶん、計算式で見てもらったほうが理解しやすいと思います。限界利益ってこんな感じで使うんです」

 

限界利益-固定費=営業利益(本業の利益)

 

「すみません。こんがらがってます。また、専門用語が頭に入ってきません」

 

税理士「ゆっくり理解していけば大丈夫です。とにかく、限界利益から、ニートな費用である固定費を引くだけで、営業利益(本業の利益)を計算することができるんです。売上総利益(粗利)とか変動費とか関係なし。これだけで、いろいろな計算が楽々できるんです」

 

「ふーん」

 

税理士「さらに、限界利益が大きければ大きいほど、会社の『儲けパワー』が大きいと理解してもらって大丈夫です

 

「儲けパワー?」

 

なんだ、この怪しいワードは・・・。

 

税理士「限界利益は変動費も含めて考えてある利益なので、『儲けパワー』がわかるんです。しかも、これは、決算書を見ても載っていないんです」

 

「儲けパワー」について真剣に話す税理士さんの顔を見て、思わずぷっと吹き出しそうになりながらも、必死にこらえました。

 

「これは税理士さんが考えたんですか?」

 

税理士「いえいえ。僕ではありません。僕も最初はわからなかったんです。でも、学んで理解できるようになっただけです。ですから、古屋さんもきちんと学べば理解できますよ」

 

「儲けパワーをですか・・・」


ヒーローもののアニメに興じる子どもみたいに、いい大人が「儲けパワー」の話をしている姿が、僕にはシュールに思えました。

「数字」が読めると本当に儲かるんですか?

「数字」が読めると本当に儲かるんですか?

古屋 悟司 田中 靖浩(案内人)

日本実業出版社

ずっと赤字体質だったのが、スゴ腕の税理士に教わったとたん、V字回復して黒字が続いているという、著者の実体験をもとにした超実践的な会計の入門書。 ●「お金はあとからついてくる」はウソ ●固定費はニートな費用、変…

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