前回に引き続き、「特区民泊」として許可申請できる物件の条件を見ていきましょう。今回は、消防設備などについても取り上げます。※本連載は、民泊運営アドバイザーとして活躍する新山彰二氏の著書、『特区民泊で成功する!民泊のはじめ方』(秀和システム)の中から一部を抜粋し、大阪市のケースを例に「特区民泊」の許可を取る方法を説明します。

求められるのは壁芯で「25平米以上」

前回の続きです。

 

③実施できる地域に建設されているか?

 

特区民泊を実施するには、建築基準法第48条により「ホテル・旅館」の建築が可能な用途地域として、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、第一種住居地域にあっては3000平米以下と定められています。

 

大阪市のホームページには大阪市の実施区域が掲載されていますので、参照してください(http://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000341012.html)。

 

[図表1]大阪市内における外国人滞在施設経営事業(旅館業法の特例)実施地域

 

④25平米以上の居室であるか?

 

こちらも特区民泊の要件の1つで、壁芯で25平米以上であることが求められています。この面積には風呂、トイレ、台所、クローゼットを含み、ベランダは含みません。

 

そもそも、この広さ以上の居室でない場合は申請ができません。いわゆるワンルームタイプのマンションの場合は25平米未満の居室も多くあるため、しっかりと居室の平米数を確認する必要があります。

ハードルが高い「消防用設備」の設置

④消防用設備は整っているか?

 

特区民泊の申請をする上で、もっともハードルが高いと感じるのが、各消防署から「消防法令適合通知書」を交付してもらわなければならないということです。

 

消防法は大変厳しく、一般住宅としては問題ない建物でも、民泊運営をする場合には数々の要件を満たさなければなりません。

 

消防法では、大きく2つの要件があります。まずは設備が必要となるハード面。これは自動火災報知機、誘導灯や避難器具から、規模が大きくなれば必要になるスプリンクラーや、非常用発電機などまであります。

 

もう1つは、ソフト面。防火管理者の選任や消防訓練、防火対象物点検報告、避難経路図の作成や設置などがこれにあたります。

 

ソフト面については手間はかかりますが、オーナーや管理会社の協力を得たり、自分で作成したりすればいいので、用意することのハードルはそれほど高くありません。

 

ただハード面は、アパートやマンションの場合はハードルが高いのです。建物の規模や建物全体の何%で民泊を行うかによっても要件は変わってきますが、自動火災報知機であれば数十万から100万円以上、非常用発電機にいたっては数百万から1000万円以上します。

 

設備を揃えるだけでもかなり高額なものが多いので、特区民泊の申請をする予定の物件がどこまで揃っているのか、事前相談で詳しく聞くと良いでしょう。この事前相談については次回説明しますが、最後にざっくりと申請の流れを以下の図表2にまとめますので、目を通しておいてください。

 

[図表2]特区民泊申請までの流れと概要

特区民泊で成功する! 民泊のはじめ方

特区民泊で成功する! 民泊のはじめ方

新山 彰二

秀和システム

不動産投資よりも手軽に取り組めるとして人気の民泊ビジネス。注目度は高くても、以前は法的にはグレーゾーンなものでしたが、2016年の特区民泊のスタートで、今では完全に合法的なビジネスとなりました。 本書は、大阪市で…

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