売却のタイミングは「中長期的な視点」で検討を
もし、相場が低いときにマイホームを売却してしまうとどうなるのでしょうか。単純に考えて、大きな損失を被ることになります。
たとえば、2011年に発生した東日本大震災では、液状化の影響によって、不動産価格に大きな変動が生じた地域があります。なかでも被害が大きかった千葉県の海沿いでは、驚くことに、2割も相場が下がりました。
また、国際的な金融危機の引き金となった2008年のリーマン・ブラザーズの経営破綻、およびその後の株価暴落などを含むいわゆる「リーマン・ショック」時も、不動産価格が下落しています。
このように、不動産価格が下落したタイミングで物件を売却してしまうと、結果的に売り手は損をしてしまいます。大切なのは、相場の動きを見極めたうえで、最適な時期に売却することなのです。
もっとも、震災などによる不動産価格の下落は一時的なこともあり、場所によってですが、おおむね5年ほどで相場が戻る傾向にあります。そのため、相場が下がっているときに売却するのと、相場が戻ってから売却するのとでは、大きな差が生じる可能性があります。
ですので、売却するタイミングをよく見極めるためにも、中長期的な視点で検討するようにしてください。
不動産価格を決める要因は複数あるが・・・
そもそも、不動産の価格を決める要因が複数あり、個々の事案によって事情も異なるため、価格を決定する基準は一概には言えません。それが不動産売却を難しくしている原因でもあります。
ただし、不動産会社による価格査定のプロセスは、おおむね決まっています。ここからは、不動産会社による価格査定プロセスをみながら、不動産価格の決まり方について把握していきましょう。
まず、売りたい不動産には現状の相場があります。いわゆる取引事例から導き出された平均価格です。この平均価格と、売主の希望である希望価格とを勘案し、値付けをするのが一般的です。
もっとも、不動産の素人である一般の方の場合、マイホームを相場より高く見積もってしまうことが多い傾向にあります。住み慣れた我が家であれば愛着もありますし、新築時の購入価格を考えれば無理もありません。しかし現実には、希望価格で売れないケースの方が多いでしょう。