前回は、東芝を例に「推定粉飾」と支払能力の関係性を取り上げました。今回は、「粉飾」という言葉の定義等について見ていきます。

「粉飾」された決算書を見抜くのは容易ではないが…

ストックによる支払い可能資産を測る時に、最も困難なのが、「粉飾」によって毀損されている不良資産の算定です。

 

決算書が「粉飾」されている時、それは当然、一見してもすぐにはわからないようにごまかされているわけですから、見抜くのは容易ではありません。しかし、「粉飾」には必ず作成者の「意図」が存在するため、だいたいの方向性や傾向といったものは大まかに推測することができます。

 

そして、「粉飾」の代表的な手口を知っていれば、怪しいと思われる箇所を立体的にチェックすることで、「粉飾」の可能性が高い部分をあぶりだすこともできます。

「不正会計」と言い換えることが可能

では、どうやって粉飾の危険を評価するかという前に、粉飾とは何か改めて確認しておきましょう。

 

実は粉飾という言葉は、正式な法律用語、会計用語ではありません。

 

粉飾に関する本はたくさんあるのですが、本によって定義はまちまちです。私の理解では、おおむね「決算書の記載内容を故意に歪曲し、会社にとって好都合な形に変えて開示する虚偽記載」ということになります。

 

粉飾という言葉は、「不正会計」と言い換えることもできます。

 

日本公認会計士協会によると、不正とは、「財務諸表の意図的な虚偽の表示であって、不当又は違法な利益を得るために他者を欺く行為を含み、経営者、取締役等、監査役等、従業員又は第三者による意図的な行為」とされています。

 

私は、意図的であるという点で、不正会計≒粉飾と考えています。

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