今回は、「セブン銀行」の国内ATM事業以外のビジネス動向から、株価について考察します。※本連載では、日本証券アナリスト協会検定会員である松下敏之氏、高田裕氏の著書『外資系アナリストが本当に使っている ファンダメンタル分析の手法と実例』(プチ・レトル株式会社)の中から一部を抜粋し、セブン銀行(証券番号:8410)の株式分析を練習問題形式で解説します。

事務受託サービス事業など、複数の事業を展開

問題3.主要事業以外の事業の動向も見てみよう

 

▶主要事業以外にはどのような事業がありますか?
▶それらの事業の動向は?

 

アドバイス

 

セブン銀行のウェブサイトを見たり、ニュースを読んだり、会社が発行する有価証券報告書や決算説明資料、アニュアルレポート等を読んでみましょう。

 

アナリストはこう見る!

 

セブン銀行は、国内ATMサービス以外にも複数の事業を展開しています。代表的なものとして、アメリカでのATMサービス事業、インドネシアでのATMサービス事業、国内の銀行から事務を受託する事務受託サービス事業があります。

 

アメリカでのビジネスは、子会社であるFCTIを通じて展開しています。米国子会社FCTIは2016年3月末時点で6,451台のATMを運営しており、すでに米国セブンイレブンの店舗内へ新たに約8,000台のATMを設置する契約を締結済みです。2017年7月の設置開始に向けて準備中のようです。国内の銀行からの事務受託ビジネスは、国内銀行のコスト意識の高まりを受けたアウトソーシング需要の拡大により、大きな需要が期待できそうです。

正確な分析には、主要事業以外のビジネス予想も重要に

このように、国内ATM運営ビジネス以外にも、複数の魅力的な事業を展開していることがわかります。

 

ただし、本書『外資系アナリストが本当に使っている ファンダメンタル分析の手法と実例』では、国内ATM運営ビジネスのみに焦点を絞って、業績予想を作成していきます。本書でセブン銀行を取り上げる目的は、あくまで業績予想の作成方法の理解を深めることだからです。議論をシンプルにするため、国内ATM運営ビジネス以外の事業に関する業績予想は、2016年3月期の水準が変わらないものとして考えましょう。

 

ただし、これは著者が、それらの事業に魅力を感じていないという意味ではありません。少なくとも、米国子会社FCTIによる米国セブンイレブンへの展開が決まっている以上、それを無視するのは明らかにおかしな予想であることに注意してください。

 

中期経営計画を見ると、海外ビジネスも売上を大きく伸ばす見通しとなっていますので、もし分析を正確に行いたい場合には、これらの主要事業以外のビジネスの予想も入れて分析していく必要があります。

 

[図表]セブン銀行の国内・海外のビジネス

(出典:セブン銀行『ディスクロージャー誌(2016)』)
(出典:セブン銀行『ディスクロージャー誌(2016)』)

本連載は、2017年7月1日刊行の書籍『外資系アナリストが本当に使っている ファンダメンタル分析の手法と実例』(プチ・レトル株式会社)から一部を抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者ならびに本連載制作関係者はその責を負いません。

外資系アナリストが本当に使っている ファンダメンタル分析の手法と実例

外資系アナリストが本当に使っている ファンダメンタル分析の手法と実例

松下 敏之,高田 裕

プチ・レトル株式会社

個人投資家向けに紹介するには難易度の高かったファンダメンタル分析の手法を、現役・外資系運用会社アナリストの著者が、ケーススタディを通して徹底解説。 実在の企業を取り上げて、著者がスクリーニングからバリュエーシ…

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